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OIHセミナー「Mindset Session for Young Entrepreneur vol.1 先輩起業家から学ぶスタートアップの心得」 2013.10.01

( 13年10月25日 ) OIHセミナー「Mindset Session for Young Entrepreneur vol.1 先輩起業家から学ぶスタートアップの心得」 2013.10.01

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関西の若手起業家の育成を目的に、先輩起業家による全4回のマインドセット セッションを企画しました。第1回目は株式会社サンブリッジグローバルベンチャーズ 代表取締役社長 平石郁生氏を講師に迎え、「成功と挫折。そして、再チャレンジ!」と題した講演会。「ホンモノの起業家」からの経験に基づく実践的なお話です。

Innovation of Life:クレイトン・クリステンセンに学んだ人生のモットー

「イノベーションのジレンマ」という著書で有名な彼は、イノベーションに特化した大学教授(HBS)だが、彼自身が起業し、ブラックマンデーで離職を余儀なくされた経験を持つ実践派の教授であり、学ぶところは大きい。彼の著書のひとつに「イノベーション オブ ライフ」というものがある。人生においてもイノベーションは不可欠だと感じており、また、起業やイノベーションに挑む姿は多くの人を勇気づけ、将来に対する希望をもたらすと考えている。そのためにも世界に挑戦する人、そこに向かって努力する人、挑戦する人が失敗を恐れずトライできる社会が必要である。そして、そのようなエコシステムを持った社会を創造したい。それが今のモットー。

「なりあがりになってやる!」起業家としての成功と挫折

初めて起業した頃(1991年。当時28歳)、個人の実力や力量ではなく社名で判断されること、いわゆる大企業にいなければチャンスさえもらえないこと、そもそも名だたる大学卒でなければスタートラインにすら立てないことに憤りを感じており、矢沢永吉氏の言う「成りあがり」になるしかないと思った。1990年代の後半、たまたま「ネットバブルの最終列車」に飛び乗ることができ、我武者羅に働いた。その結果、当時は会いたくても会ってもらえなかったような大企業や金融機関の人たちが「会いたい」と言って、向こうから僕に会いに来るようになった。
起業は社会を見返すための手段でしかなかったのに、2社(インタースコープはYahoo! Japanに売却、ウェブクルーは東証マザーズに上場)の成功で、それなりのキャピタルゲインと名声を得るうちに、起業自体を目的であるかのように勘違いした。成功することが目的だとしたら、その目的は達成したのに、次の目的をきちんと再設定することなく、欲が出て3度目の成功を狙ったとき大失敗を喫した。失意のどん底の日々が始まったが、つけ上がった自分への罰だと思い、現実を受け入れた。

晴読雨読の日々から掴んだこと

事業失敗で茫然自失となったが、とにかくこれまで不足していた時間だけは潤沢に手に入ったのだからと、仕事も何もせずに日々、カフェを転々とし、貪るように本を読んだ。本を読みながら、自分はなぜ失敗したのか、どこで、何を間違えたのか、深く内省を続けた。
雨の日も晴れの日も読書と内省を続けて1年ほどが経った頃、「ああ、これだ!」と自分なりの結論がストンと心に落ちてきた。ドラッカーの著に「事業の定義は陳腐化する」とあるが、「人生の目的もまた陳腐化する」のだ。目的を達成した時に、当初の目的は陳腐化する。達成時はお祝いをするのではなく、次の目的を考え直す時だった。そして、その時々、自分の目指しているものが何であるのか、明確なビジョンを持っていなければならなかった。

後進に語る、起業家としての素養とは?

成功を収めた起業家の中で、始めから今のビジネスをしようと考えている人はまずいないが、その人の素地に全くないものから出てきたものもない。Connecting the dotsとは、スティーブ・ジョブズの名言であるが、自分の過去に意味を見いだし、今の自分が持っている材料で何ができるか、を考えられる人が起業をなすことができる。さらに、Given Means と Given Goalsを使い分けることができる人が偉大な起業家と成り得る。
価値観は人それぞれ。自分の成功の定義をきちんと持つこと、「どういう未来を創りたいのか」、自分の価値観を知ることが大事。そして、道を進む上では、自分のユニークさを持ち、知り、それを活かしていくことが大事。

後輩が同じ轍を踏まないようにと、あえて「失敗」にフォーカスをあてた話はひとつひとつが含蓄に富み、参加者が深く頷くシーンが多々見られました。講演後には質問が殺到し、密度の濃いセッションとなりました。

(文:大谷 里美)


主催:大阪市都市計画局 運営:innovate!osaka

( 13年10月25日 )
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