Event Reports

Hack Osaka2015をリポート!〜その3

( 15年04月01日 ) ho15_repo_top

 

大阪市・大阪イノベーションハブ主催の第3回国際イノベーション会議、”Hack Osaka 2015”が、2015年2月10日に開催されました。2014年の2月にグランフロント大阪のナレッジシアターで開催された第2回Hack Osaka会議に引き続き、今年はコングレコンベンションホールAを会場とし、起業家、支援者、大企業社員など様々な参加者500名以上が日本国内のみならず海外からも来場。国際会議は主に英語により行われ、その様子はインターネットを通じて世界へ発信されました。会議はイギリス・リヴァプール出身でありながら日本で落語家として活躍するダイアン吉日さんの司会進行のもと進行。

ファイアーサイド・チャット

エコシステムで最も必要なのは、
個人のアクターであり、そのアクターが起こす可能性のある波及効果だ。

エコシステムは、資金やメンターなど多くを必要とするだろうが、最も必要なのは個人のアクターであり、そのアクターが起こす可能性のある波及効果だ
このセッションはHack Osakaのディレクターの平石郁生と500 Startupsの共同経営者であるカイリー・ン氏との対談形式のディスカッションで、大阪に力強いスタートアップエコシステムを作り出す方法がテーマである。

G+ファイアーサイドチャットで熱く語るカイリー・ン氏

平石が観客に「失敗は問題ではなく、継続的な成功に必要なプロセスである」というコンセプトを紹介してスタートした。彼は自分の過去の失敗について述べ、そこから多くを学んだと語った。変化とイノベーションを重視するという自身の哲学がグローバルなイノベーションをもたらす、グローバルな課題を生み出し、社会の若い世代から勇気、自信、希望を引き出すと述べた。

ン氏は、自分の話はスタートアップエコシステムをハッキングするような「異なる側面」のものと前置きした。ン氏の所属する500 Startupsは世界でもトップランクのシードインベスターだ。彼らの成功の秘訣は、シードファンド、アクセラレーター、そして具体的なエコシステムやコミュニティの形成とのコンビネーションにある。エコシステムの構築について、ン氏は、世界中の政府が豊かなエコシステムにますます関心を持っていると述べた。

特に、500 Startupsでは国におけるスタートアップエコシステムのずれを検討し、綿密な計画を立てて、その穴を埋めている。その国にエコシステムがなければ、投資家はよそに移ってしまうため、そうしたずれを埋めることが大切なのだ。

ン氏はエコシステム構築の目標を説明した。スタートアップは、設立当初は中小企業(SMEs)だが、信じられないような早さで成長を遂げ、多国籍企業(MNCs)になる可能性を秘めている。そのため、今、スタートアップの成長を促すために取り組むことが、中長期的な経済の土台を築くことになるのだが、この課題は大阪のような地域的に限定されたものではなく世界中に通じる。

ン氏は、マレーシアにおけるテックスタートアップの多くのサクセスストーリーに加え、エコシステムという環境の支援なしでスタートアップを築いた自らの経験も語った。エコシステムはスタートアップにとって大切だが、もう一つ別の要因があると語り、それは個々の決断がもたらす波及効果だという。ン氏は、彼のスタートアップがマレーシアで多くの壁にぶつかる中で、他の国に行くことを真剣に考えたと話した。しかし、彼はマレーシアに留まることを決意し、そこから次々と結果が導き出され、500 Startupsの参画へと繋がったという。ン氏はまた、彼自身のスタートアップへのシードファンディングで偶然見つけた政府の役割を語った。これがマレーシアにおけるエコシステム構築への最初の一歩になったのだ。ン氏は最後に、エコシステムは、資金やメンターなど多くを必要とするだろうが、最も必要なのは個人のアクターであり、そのアクターが起こす可能性のある波及効果だと強調した。

大阪にはケアの倫理があり、
これはスタートアップを立ち上げるために不可欠な要素だ

H+イノベーションエコシステムについて語るカイリー・ン氏

平石は、東京と大阪の域内総生産が100:40であるにも関わらず、ベンチャー・キャピタル・インベストメントは100:7あるいは8とかなり差が大きいと述べ、ン氏に、彼がスタートアップを始めた頃と現在のマレーシアの状況、またマレーシアとシンガポールの状況をどのように比較できるかと尋ねた。

ン氏は、東南アジアの多くの国々が世界の中で自らの居場所を見つけようとしており、多くのエコシステムが日本から資金援助を受けていると答えた。マレーシアではエコシステムが発展途上にあるが、長年にわたり国外居住者の基盤とされてきた歴史を持つシンガポールのエコシステムとは比べられない。シンガポール政府はビジネス成長にとても積極的だが、マレーシアは、まさに居場所を見つけ始めたばかりであり、それはインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンも同じだという。

平石は東南アジアにおける言語や文化の違いについて指摘し、ン氏にマレーシアの起業家が地域の複数の国でどのようにビジネスに取り組んでいるのか尋ねた。ン氏は、購買力やブロードバンドの普及率など市場条件がベンチャーキャピタルへの役目を果たすが、環境によっては、サービスが確立した時に市場が形成されると答え、クレジットカードやブロードバンドの普及率が低いマレーシアにeコマースがもたらされた成功例をあげた。製品が安く提供されたからだという。これは、文化的に特有の現象であり、ベンチャーキャピタルが運用のベースとする統計的な一般概念には背く。

大阪に対して何か具体的なイノベーションが想像できるかとの問いに対しン氏は、まずは世界で他にはない大阪だけが持つ特色を考慮するべきだと答えた。2つ目のポイントは、大阪が具体的なスタートアップに最適な場所となるためにどういうグローバルな機会があるかを考えること。これは今、大阪でどのような仕事ができるか検討することとも関係する。日本にあって他の国にはない特色の例を1つ挙げると、ハローキティに見られるような可愛さ(カワイイ)があり、世界的にも有名だ。ン氏は、この特色から何かが生まれてくる可能性があると述べた。

最後に、競争という点で、マレーシアの文化をシンガポールのそれとどのように比較できるか尋ねたところ、ン氏は、マレーシアの企業は多くのサポートを受けずに築き上げられてきた歴史があるため、シンガポールと比べて強い個人主義的な文化を持つと答えた。ン氏は、大阪にはケアの倫理があり、これはスタートアップを立ち上げるために不可欠な要素だと締めくくった。

(その4に続く)

 

( 15年04月01日 )
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