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大阪から世界へ!吉村大阪市長が語る起業家への想い

( 16年08月02日 ) 20160801c

GVH Demo Day2016 Spring -2016.4.26

4月26日(火)に開催したGVH Demo Day2016 Spring。そのオープニングパートに吉村 洋文大阪市長が登壇。本イベントの主催者を代表してサンブリッジグループ創業者のアレン・マイナー氏とトークセッションを行いました。テーマは、「大阪から世界に羽ばたく起業家を」。ファシリテータは、自らそのテーマを実践し、大阪のベンチャー企業として2014年に東証マザーズ一部上場を果たした株式会社ロックオンの岩田 進氏が担当しました。

GVH Demo Dayは、OIHの横にインキュベーション「GVH Osaka」と阪急Fiveにある「GVH#5」の入居企業による事業成果発表イベントです。大阪屈指のインキュベーションであるGVHのDemoDayだけに注目度の高いプログラムです。
登壇されるのは、まさに大阪から世界へ羽ばたかんとする起業家たち。彼らを前に、どのような形で議論が展開されたでしょうか。今回は、そのダイジェストをお届けします。

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テーマは、「大阪から世界に羽ばたく起業家を」

岩田氏:みなさん、こんにちは。株式会社ロックオンの岩田です。本日はよろしくお願いいたします。本日は吉村市長にお越しいただきまして、「大阪から世界に羽ばたく起業家を」というタイトルでディスカッションをさせていただきたいと思います。早速ではございますが、それぞれ簡単に自己紹介いただきたいと思います。では、最初に市長からよろしくお願いします。

吉村市長:みなさん、こんにちは。大阪市長の吉村です。年齢は、今日ここにいらっしゃるみなさんと同じくらいの年代じゃないですかね。40歳です。23歳の時に司法試験に受かり25歳から弁護士になりました。当初、東京で弁護士をしていたのですが、やはり大阪を元気にしたいという思いで政治の世界に飛び込み、大阪の元々もっているポテンシャルもっともっと出していきたいという思いで、いま政治に取り組んでいます。どうぞ、よろしくお願いします。

岩田氏:では続いて、アレンさん、お願いします。

アレン氏:サンブリッジの創業者で会長を務めさせていただいておりますアレン・マイナーと申します。サンブリッジを設立した当初から16年になりますが、最近耳にすることが増えた言葉にベンチャーを支える生態系というキーワードがあります。インキュベーターとかアクセラレーターとかではなくて、エコシステム全体がどうあるべきかということを考えながら、自分たちなりのやり方で、日本のベンチャー企業がより早くより大きく成功できるように、いろんなことを取り組んでいます。
この5年間ぐらい前から、グランフロント大阪の開発を機会に阪急さん、UII(公益財団法人都市活力研究所)さん、大阪市さんとコラボレーションさせていただいています。
東京は16年間も経つと、ベンチャー企業にとっていい感じで回っているんだけど、大阪にも優秀な大学生がたくさんいますよね。実際にこちらでやってみると、大阪人の方が、フランクではっきり物事を言うし、意思決定と動きも早いし、もともと商いの街ということもあるので、本来だったら東京より大阪の方が、ベンチャーがいっぱいあるはずだなという自覚を持ちながら、この5年間付き合ってきました。
経済圏の規模は、大阪のベンチャー企業が東京のベンチャー企業より少なくなってきているんだけど、そもそももっている潜在力でいけば、同じ経済比率でいうと、大阪は東京より多くなるはずだと思っているし、あとグローバルベンチャーということを考えると、東京の市場が大きいからと大阪からわざわざ東京に行くのではなくて、大阪からだったら台湾、東南アジア、アメリカ。どうせ大阪から離れて商売するということを考えるんだったら、東京じゃなくて、ひとっ飛びに海外へ行くというのも、考え方としてはありうるね、と思っています。そして、そういう考え方が根付くように、まあ、5年前からですけど、これからも大阪のみんなと、コラボレーションしてやっていきたいと思っています。

岩田氏:すばらしい自己紹介をありがとうございます。もうすでに大阪への熱い想いがメッセージとして出ていたかなと思います。
私、ロックオンの岩田と申します。当社、株式会社ロックオンについて簡単にご説明させていただくと、2000年に大阪で創業した会社です。当時、関西学院大学に在学中に創業した会社でございまして、いま16期目になります。IT関連のビジネスをやっております。そんななか、2014年9月に東証マザーズにも上場させていただいて、西梅田のブリーゼタワーに大阪本社があるのですが、そちらに本拠地を置きながら、営業は東京、シリコンバレー、ベトナム・ホーチミン、日本はあと福岡で営業活動をさせていただいているというような会社でございます。
さて、本日のテーマは「大阪から世界へ羽ばたく起業家を」ということで、テーマとしては大きく3つあるのかなと思っています。「大阪」というところと「世界」、そして「起業」ですね。大きくこの3つのテーマについて、お話したいなと思います。

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起業が都市の力を高める

岩田氏:では、はじめに起業というテーマに関してですが、早速市長にお伺いしたいのですが、経済、雇用問題というのは非常に大きなテーマだと思います。そんななかで起業が活性化してくるというのは非常に大きなことだと思っているのですが、起業家、あるいは起業に対しての市長の想いというところをお聞かせいただけますか。

吉村市長:都市の力を高めていくというのは、これは経済の分野になるのですよね。もちろん、これには大きな企業にがんばっていただく事も大事であり、新しい企業が生まれる、新しい会社が起業されるということ、これらも本当に大事なことだと思っています。そこで新たな雇用が生まれ、そして新たなサービス、商品が生まれるということにつながるからです。会社を起こす、起業は、なによりも都市の魅力や都市の力を高めていくうえで絶対的に大事なことだと思っています。この大阪イノベーションハブもそうですが、大阪市としても新たな起業家が生まれるということにかなり力を入れていますし、僕もその方針をさらに強めていきたいと思っています。
実は都市の起業率、廃業率ですが、大阪市や名古屋市などの大都市の廃業率は8%ぐらいです。そして起業率が、高いのは福岡市でだいたい10%ぐらいです。福岡市も若い市長が頑張られていて、僕も負けられないなと思うのですが、大阪は起業率は7.5%ぐらいです、つまりマイナスの方が多い。足し算引き算するとだいたい0.7%ぐらい廃業率の方が多いのです。これだと成長しませんよね。これを少しずつ変えていかないといけない。新たな起業を起こす、いろんなものに新たにチャレンジするということにぜひ、取り組んでいただきたいと思っています。僕の政治理念も、いろんな新しいものに挑戦できる社会、挑戦する社会です。挑戦して失敗することもあると思うのですけど、失敗してももう1回チャレンジというか、失敗した人を支える、何もしない人を支えるのではなくて、挑戦して失敗した人を支える社会、そういったものが基本的な政治思想としてありますので、まさにこの大阪において色々な方が、起業にチャレンジしていただきたいなと思っています。

岩田氏:ありがとうございます。最近、日本だと福岡での起業が多いと。高島市長が積極的に前に出られて頑張られているというのも一つ成果として上がっているのかなと思いますし、あと、シリコンバレーだともっとすごいですよね。シリコンバレーの市長なんか、僕もすごくびっくりしたんですけど、TechCrunchという有名なIT業界のイベントがあり、数多くの起業家が何千人と集まっているような大イベントなのですが、そこに出席したときに、基調講演に市長が登壇され、起業とはいかなるものか、みたいなことを熱く語っているというのをみて、すごい衝撃を受けた思いがあります。
アレンさんはそのあたり、起業が盛んになる街というのは、シリコンバレーにもお住まいですし、いろいろみられていると思うんですけど、そのあたりコメントいただけますか。

アレン氏: シリコンバレーが成功する要因として、よく挙げられているのは、1つは優秀な人が集まっている大学の存在です。大学に入っている間にその街が好きになって、そこに住みたいと。もしくは岩田さんみたいに学生でありながら会社を起こしてという人が、大学でその街にきて、会社を起こすと社員もできてその街に残るという形ですね。
関西を大きくとれば阪大(大阪大学)もあるし京大(京都大学)もあるし、神戸大学もあるし、すごく有能な若者が学生の間に関西に集まってくるので、その人たちが街を好きになって残ると。
あと、サンフランシスコが流行ったのは、遊びの街で夜遊んで楽しい街だったこともあるんですね。独身で新卒で会社に入って、昼は一生懸命に働いて夜と週末は一生懸命に遊ぶという年齢層の人たちにとってはいい街ですよね。
阪急とグランフロントプロジェクトのときに、「大阪のどこで若者は遊んでいるの?」と聞くと、だいたい梅田界隈が多いよと聞きましが、若い人が若いうちに夢を語って、失敗しても家内、こどもに迷惑はかけない段階でチャレンジして、うまく軌道にのった会社がMicrosoft、Dell、Appleなのだから、もっとチャレンジすべきです。若者が成功する確率は、正直言ったら少ない。成功する確率は少ないのだけど、成功すると大きく成功する可能性があるので、大きなチャレンジがかけられる若者が集まる街、そこに資金があったり、モデルとなる先輩がいたり、いろんなことがうまく回りだし継続すると、どんどんそのなかで生態系が生まれてくるんですね。(岩田さんの方を向きながら)岩田さんのところで働いていた人が、ベンチャーを起こしている人もいるんじゃないですか?東京も90年代後半に、楽天で働いていた田中さん(田中良和氏)がグリーを作ったりという流れがありました。ベンチャー企業を一緒に作った人が次の世代のベンチャー企業を作るという、もしくはインベストメントにまわるとか、循環が回りだすといいんじゃないかと思います。

岩田氏:ありがとうございます。そういう意味ではね、関西は若くて優秀な学生が多数いらっしゃいますし、海外からも優れた学生が集まっていますし、そんななかであと継続ということですね。

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まずは国内展開で他拠点経営を学び、世界へ

岩田氏:では、引き続きなんですけど、次のテーマは、「世界」。こちらはアレンさんにお伺いしたいのですけど、まず、日本発の世界企業ってなかなか生まれないですね。東京発でも世界企業って生まれないんですけども、世界にチャレンジしていくうえで、世界で戦って勝っている会社、アレンさんもオラクルさんとかセールスフォースさんとかいろんなところで経験されたと思うんですが、勝っている会社となかなか難しい日本企業との差って端的に言いますと、どういうところになりますか。

アレン氏:グローバルでちょっと期待がもてるかなと思っているのは、ブイキューブさんです。僕はベンチャー企業さん、ITですと特にシリコンバレーで戦わないとはじまらないと思っています。そこで一番強い会社が生まれるから。強いライバルと戦って自分も強くなる理論です。ロックオンもそういう視点で呼んだんですけどね。
でも、最近気付いたのは、アメリカの企業だって、海外って言っても、最初長い間は英語圏しか行かないんですよ。また、アメリカの企業はデンバーみたいな、日本でいうと新潟みたいなところに営業所を早く作るんです。新潟にもビジネスがあるということを日本人だったらわかると思うのですが、自分の国で全国展開することで、リモートの組織、本社だけじゃなくて、バラバラの組織をリモートで経営するということを学ぶのです。次に一歩言葉を超えていくと、ブイキューブさんはロサンゼルスでやってみてうまくいかなくて、東南アジアに行ったら日本人が求めるようなサービスとか柔軟性が有効に働いたんですね。アメリカに強いライバルが2社あって、直接戦うと負けてばかりいたけど、東南アジアにいくと時差の問題とかカルチャーフィットでうまくいったんです。
展開としては、最初は東南アジア、そしてUKとオーストラリアに営業所を出したんです。オーストラリアでやることによってアジアでやっている感じがあって、UKでやっていることでヨーロッパでやっている感じがあると。英語圏でしかやってないのに、たまたまアジアとヨーロッパで。だから、まずは全国展開、その次に東南アジアがいいと思います。最初から日本とシリコンバレーでやって勝つという夢もこれから継続的に努力していかないといけないのですが、プラクティカルにやると、まずは日本の数カ所、次は東南アジアというやり方がいいんじゃないかなと思います。

岩田氏:なるほど。そういう意味では、まずは日本でもっと体力をつけて、日本で圧倒的な存在になったうえで、次に東南アジアを攻めて、そこからアメリカも含めてグローバルに積極的に展開していくというのがいいんじゃないかと。

アレン氏:あと、注目されたいならば、シリコンバレーのメディア。攻めているのは日本だけでも、TechCranchに行ったり、シリコンバレーのピッチコンテストでシリコンバレーのメディアに載ることによって、日本のビジネスもうまくいくというケースもたくさん見てきましたから。営業展開なのか、ただのマーケティングなのか。SXSWに行ったりして、シリコンバレーでも評価された日本企業として日本のビジネスに活用できるようになる。でも、営業展開となると、日本、アジア、最後に欧米かなと最近考え方が変わりました。

岩田氏:確かに私も企業経営している中で、やはりベンチャー企業にとって、2拠点目ってやはり敷居が高いわけですよね。国内であっても2拠点目は難しいところがあって、社長がいてマネジメントするスタイルと、社長不在で組織として回っていくマネジメント・スタイルとでは、一歩踏み出す大きな壁があると思っています。
そういう意味では、東京の企業が最初社長不在の「2拠点目」ということと「海外」ということを一緒に挑戦することを考えると、大阪の企業がまず東京で多拠点経営を学んだうえで海外に行くというのは、非常にスムーズなプロセスなのかなと感じています。大阪から、関西、地方からグローバル企業が生まれてくるという必然性がそこにはあるのかなと思っています。

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大阪を選ばれる都市に

岩田氏:最後、テーマとしては「大阪」ですね。大阪で起業というテーマなのですが、最近、起業する際に最初から東京で起業する、関西で少し芽が出てきたら東京に移っていくと。ある程度経営をはじめる、あるいはちょっと芽が出てきた、そんなタイミングで次々と起業家が東京に吸収されていくという構図ができているわけですね。
私自身も企業経営していますと、東京の方が採用もしやすいし、情報共有もしやすいし、発注もしやすいし、お客さんもそこにいるしと、企業経営の環境としては東京の方が非常に魅力的ということはひとつあるのかなと思っていたりするのですが、そんななかでやはり関西で起業のエコシステムを根付かせていかないとですね、未来の子供達は就職先がないということにもなってきますので、かなり差し迫った状況でもあるのかなと感じております。
そんななかで、市長にお伺いしたいのですが、大阪で起業する、そのメリットというのですかね、なかなか簡単にできるテーマではないと思うのですが、ぜひ、大阪で起業する、してほしいメッセージというところ、あるいは、メリットを作っていけるんじゃないのかなというビジョン等あれば、ぜひ一言お願いします。

吉村市長:大阪で生まれてもすぐに東京に行ってしまうというのは、一言でいって、都市の魅力がないからだと思います。
これまでの自治体の経営において、この点をしっかり取り組んでこなかったということもあるのじゃないかなと思います。情報もどんどんグローバルになってきていますので、これからの社会は、都市がしっかりと経営して……これまでは国のなかに都市があるという発想だったと思うのですが、都市が国を引っ張っていくような時代に入っています。まさに都市自体が選ばれる主体になってきているのですね。選び選ばれる側は、まさに都市であると思いますので、選ばれる都市にならないといけないと思っています。
そのために何が必要かと考えると、人が集まるようにならないとだめなのですね。いろんなプレイヤーが集まる、人が人を呼ぶ、人が集まらないといけない。イノベーション・エコシステムをみても、結局人が集まらないと何もはじまらないですから。魅力あるプラットフォームを作るというのは、まさにここで起業をしたいと思われる方そして行政もみんな一定役割を果たしていかないといけないと思っています。そういった意味で、この大阪イノベーションハブを設立させてもらいましたし、ここで様々なイノベーションが生まれることも期待しています。
「うめきた」の2期についても、たんに既存の価値にあてはまるようなものではなく、新たな起業を生み出すような、まさにそんな拠点が「うめきた」になければいけないと思います。2020年までは東京オリンピックで東京がいきますけど、2020年以降は大阪が選ばれるようなそんな街にしていきます。
いま、いろんな仕掛けをしていますけども、都市の魅力を高めていく政策、例えば中之島のあたりなど、いろんなものが根を生やしている状態です。やはり大阪が選ばれて、そして根付いてもらわないといけないわけですから、まさにそんなプレイヤーを集められる、そして魅力を高めていくことができるような、まさにうめきたをそのような中心的な拠点にしていきたいなと思っています。

岩田氏:シリコンバレー、サンフランシスコ、シンガポールであったりとか、そういった発展している都市というのは、都市自体が経営をしているという感覚があるのかなと思っています。そういう意味では、まさに都市の起業ということだと想いますけど、市長自ら起業の心持ちで新たな大阪を経営していくと。

吉村市長:そうです。まさに役所の感覚でいうと非常識の連続ですが、そのようなことが大事だと思うんですよね。さきほどからシリコンバレーの話が出ていますけど、大阪イノベーションハブでは毎年数十名くらい、まさに起業したいという若手を派遣し、いろいろ経験してもらうというプログラムを展開しています。これはきっかけの一つですけど、これまでの常識にとらわれているやり方だと大阪は成長しないと思います。ですので、非常識かもしれませんけど、いろんなものに挑戦して、活性化させていきたいですね。人が集まる街にしていかないといけないですから。
あと、先日報道がありましたけど、外国人が来る数で、関空が成田空港を超えたと。初めて超えたんですね。アジアに近いですから、玄関口としていろんな国の人に来てもらう。そしていろんなものを落としていってもらうような、大阪はそんなプラットフォームになるような力のある都市だと思っています。神戸や京都とかの歴史遺産も絡めて、かなり地の利としても優位があると思っています。必ず選ばれる都市の経営をしていきたいですね。

岩田氏:熱いメッセージをありがとうございます。拍手でお願いします。本当にこれからですね。大阪って一通りのリソースが潤沢に揃っていると思っております。あとは自信をもって、一体感をもって取り組んでいただければ、本当に素晴らしい都市として、発展していけるのかなと思っております。市長もいまの熱いメッセージをいただいておりますから、ぜひ一体となってやっていければと思います。

吉村市長:みなさん、ありがとうございました。これからもより一層、大阪を盛り上げていきましょう。よろしくお願いします。

( 16年08月02日 )
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