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「考えるな、感じろ。」(でも考えた。)大阪に海外IoTプロジェクトがやってきたの巻IoT製造部(仮)活動日誌 第3回

( 17年02月28日 )

「IoT製造部(仮)活動日誌」とは。

大阪イノベーションハブの自主部活「IoT製造部(仮)」による活動記録(Facebookページはこちら)。ものづくり、製造に携わるみなさまに「情報がとどくといいなぁ」と思いながら、時に体当たりしながら「考えるな、感じろ」をモットーに雑多に情報収集、発信していきます。話題があっちにいったりこっちにいったりすると思いますが、ご一緒にあれこれ考えていただけますと幸いです。

今回は、大阪で開催されたハードウェア・スタートアップとサプライヤーとのマッチングイベント、「HWTrek Asia Innovation Tour」のプレゼン会で発表されたシーズをご紹介します。

2016年4月、中国の深圳で行われたハードウェア・スタートアップと製造業者とのマッチングイベントHWTrek Asia Innovation Tour Shenzhenに参加し、海外のハードウェア・スタートアップと地元の中国企業がグイグイ繰り広げる商談の様子をみて、「日本でこのイベントを実施したらどうなるのだろうか。」と思ってから約半年後(その時の様子はこちら)。ご縁ありまして、HWTrek Asia Innovation Tourの日本開催がMakers Boot Campさんのサポートのものと、京都と大阪で実現したのでありました。京都では、企業見学ツアーが開催され(参考記事:「世界のベンチャーに対して見せた、日本製造業の可能性 ーHWTrekのAsia Innovation Tour 世界のサプライチェーンレポートー」-fabcross)、
マッチングイベントは、大阪で2016年11月8日に大阪産業創造館で開催されることと相成ったのでした(もちろん、大阪イノベーションハブも共催として全面協力)。

関西に来てくれてありがとうHWTrek! 

イベント前後のドタバタはさておき(ご興味のある方はご連絡下さい)、
最終的に来日したシーズをご紹介します!

発表プロジェクト(15)

1. FarmBot – Humanity’s Open-Source CNC Farming Machine

https://farmbot.io/

全自動農業用ロボット自動栽培を実現。部品の取替えで種蒔きをはじめ、肥料や水遣り、除草、土の温湿度測定などに加え、栽培物の生育状況も随時確認可能。栽培計画と状況モニタリングをモバイルで操作できます。

クラウドファンディングKickstarterのページはこちら。
https://www.kickstarter.com/projects/roryaronson/openfarm-learn-to-grow-anything

日本のメディアにも取り上げられています。

Farmbot:オープンソースの「精密農業」ロボット – WIRED.jp
http://wired.jp/2014/02/27/farmbot/

2. InteliNetwork

http://ibisnetworks.com/ibissystem/intelinetwork/

家庭電力消費量監視用スマートコンセント 。家庭電力消費量を測定するソリューションを提供。スマートコンセントであるInteliSocketを測定希望のコンセントに差し込むだけで、その電力消費量を把握できます。

3. miniMICA

http://www.harting.com/en/home/

重工業用故障検知監視モジュール 重工業用モジュール・プラットフォーム。センサーで環境状況をモニタリングし、故障の予防保全や工業設備の保守などに活用可能。創業70年以上のハーティングテクノロジーグループ発の新規プロジェクトで、ハーティングテクノロジーグループは電子や通信、輸送、インターネットなど分野で先進的な技術を保有し、機械工学や鉄道、風力発電、通信事業や工場自動化など幅広い領域で応用されています。
※MICAとは:Modem ISDN Channel Aggregation(MICA)のこと。

4. Pilot Smart Earpiece

http://www.waverlylabs.com/

イヤホン型音声自動翻訳機イヤホン経由でリアルタイムに音声で会話を翻訳。最先端の言語識別、翻訳、音声合成とウェアラブル関連技術を保有。音楽鑑賞にも利用可能です。

クラウドファンディングIndie go goのページはこちら。
https://www.indiegogo.com/projects/meet-the-pilot-smart-earpiece-language-translator-headphones-travel

日本語での紹介記事はこちら

会話をリアルタイムに通訳するワイヤレスイヤホン 「Pilot」 – CF NETWORK
https://cf-net.works/features/pilot/

5. YoCam

http://www.getyocam.com/

防水小型カメラ持ち運びが便利で、防水・防振・防塵機能付きでスポーツカメラとしても利用可能。アプリでは写真編集やSNSシェアなど機能付き。有名なクラウドファンディングサイトであるIndiegogoで百万米ドルの資金集めに成功し、アマゾンにて販売中。

日本語での紹介記事はこちら

話題のウェアラブルカメラMOFILY YoCamをエクスパンシスから購入レビュー – SEKATABI
http://sekatabi.net/2016/05/28/yocam-expansys/

6. Ulla – Smart Hydration Reminder

https://www.ulla.io/

水分補給の注意を促すデバイスカップやペットボトルに取り付けるだけで、水分補給するよう通知がきます。充電やモバイルへの取り付けが必要なし。内部センサーで水分補給した時間を記録し、一定期間水を飲んでいないと光って注意喚起を行います。

日本語の記事もありました。

水分足りてる?“飲む”を促すリマインダー – 日経デジタルヘルス
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/062802772/?ST=health

7. TILT

http://www.tilttextiles.com/

インタラクティブな繊維インド大手繊維メーカー発スマートブランドTILTは有名な繊維メーカーであるWelspun社の新しいブランドで、最先端の技術を衣服などに応用。既にインタラクティブ衣服とARシステムの特許を取得済みで、ユーザが衣服にプリントされたイメージをスキャンすると当該ARの環境にアクセスできます。

日本でも記事になっています。

Welspun社TILTブランド、AR技術を搭載した子供向け最新寝具Spin Tales – GET AR
http://getar.jp/ar-home-textiles-welspin-and-tilt/

8. PILLO

https://pillohealth.com/

家庭用医薬品管理ロボット家庭用医薬品やビタミン剤などを管理するロボットで、保存や用量のモニタリング、注文もできます。健康アドバイザーともリンクし、健康管理のための専属コンサルティングを行ってくれます。

クラウドファンディングIndie go goのページはこちら。
https://www.indiegogo.com/projects/pillo-your-personal-home-health-robot-family-technology#/

日本語での紹介記事はこちら

家族の健康を管理するためのロボット「pillo」、クラウド・ファンディングで資金募集 – ロボスタ – ロボット情報WEBマガジン
http://robotstart.info/2016/07/07/pillo-indigogo.html

9. EllieGrid

スマート薬箱オンタイムで服薬するよう注意を喚起。錠剤などを中のトレーに入れ、モバイルで服薬時間と用量を設定するだけで、薬箱上のLEDが指示とおりの時刻に光り、服用量も教えてくれます。

オフィシャルサイトは見つかりませんでしたが、クラウドファンディングIndie go goのページがあります。
https://www.indiegogo.com/projects/elliegrid-the-pillbox-with-brains-beauty-health-technology#/

日本語での紹介記事はこちら

飲むべき薬が複数あっても、混乱しないようわかりやすく知らせてくれる薬箱 | EllieGrid(エリーグリッド) – Kickstarter fan!
http://www.kickstarterfan.com/archives/24183

10. Spectro

ショップ顧客行動解析用設備アルゼンチン発のプロジェクトで小売やブランド品向けに空間スマートソリューションを提供。物理的空間のデータを収集し、分析及提案を提示。顧客が棚前の滞在時間を記録し、小売向け最適化ソリューションを提案してくれます。

11. Integrated Traffic Toll & Parking Management System

http://pipeline-network.com/

スマート駐車システムマシンビジョンなど新技術を最先端のソフトとハードのトータルソリューションとして整合。室内外の駐車場や都市と高速道路の料金所、道路管理などに応用可能です。

12. AENAO

スマートリマインダー腕統計 アタッチメント機械式腕統計で音楽プレイヤー機能とモーター、PCB基板回路などを組み合わせ、伝統的な腕時計でもスマートウォッチならではの各種リマインダー機能を音楽で再現。

13. ShokaBell – The Smart Bicycle Light and Bell

ナビシステム付き自転車用ライトとベル一般の自転車用スマート機能に加え、ヘッドライト、ベルと盗難防止システムも完備。モバイルでナビシステムと接続し、交通渋滞や近くに友人がいる際には通知してくれます。

クラウドファンディングKickstarterのページはこちら。
https://www.kickstarter.com/projects/dnlfls/shoka-bell-the-ultimate-city-cycling-tool

日本語での紹介記事はこちら

4つの機能+αを備えた自転車ベルの革命児「ShokaBell」 – DickEY SinG
http://fervent-shine.hatenablog.jp/entry/2016/08/09/075609

14. Volans-i

http://www.volans-i.com/

長距離輸送用高速ドローン速達輸送用ドローンで、高速で長距離の貨物輸送に対応。開発チームは電気自動車であるテスラの元社員で構成。

15. OpenBarbell

http://squatsandscience.com/openbarbell/

バーベル用筋力トレーニング補助デバイスバーベルなど筋力トレーニング用具をサポートするデバイスで、筋力トレーニングのデータを自動で記録し、モバイルでも確認可能。平均速度や最速速度、動作ふり幅、高度、バーベル位置、休憩時間など指標を記録できます。

以上、15プロジェクトがプレゼンテーションをしてくれました。今回のツアーでは、ハードウェア・スタートアップだけでなく、海外の中堅の企業の新規プロジェクトが来日していました。若干、テーマとしては健康・医療のものが多かったように思います。

イベント会場の様子

会場は、HWTrekのデザイナーさんがガッチリ装飾デザインをしてくださり演出はバッチリ!会場づくり大事です。

クリエイターの発表前は、主催のHWTrek、共催のMakers Boot Camp、大阪イノベーションハブと、協力企業のQuadcept(クアッドセプト)株式会社株式会社ザクティといった、大阪で生まれた誇るべきグローバル企業の方によるプレゼンテーションが行われました。

製品のプレゼンテーションだけでなく、製品のデモテーブルも用意されており、ビジネスパートナーを求めるクリエイターとの商談&イベント後には懇親会を実施。にぎわいました。

結果、思ったこと。

「日本で海外のハードウェア・スタートアップと、日本の製造業とのマッチングをおこなったらどうなるだろうか。」という問いをいだきながらイベントを実施して感じたことは、次の点。

  • HWTrekのようなプラットフォームがあるとはいえ、日本の場合、英語対応が課題。
  • 新規事業へ投資する気概、海外取引ノウハウ、体力がないとプロジェクトの遂行は難しい。
  • 取引を行うためには、製造業者側にこれまでの商習慣とは違うビジネスの捉え方が必要。リスクに対する考え方もしかり。
  • IoTデバイスで価値が生まれるのは、ハードウェアから取得するデータを元にした、サービス提供(つまりはソフトウェア)。このことを前提に、製造の利益をどのように確保しくのか製造業側の戦略が必要。

上記を踏まえて、「海外のハードウェア・スタートアップとビジネスをしよう!」という企業さんに必要な要素は次のようなものであると思いました(あくまで、現時点で)。

  1. (1) 海外との取引経験がある、もしくは海外取引に前向き(&折れないこころも)
  2. (2) 多様なクライアントニーズに対応して小ロット・少量生産が可能
  3. (3) ハードウェア・スタートアップのビジネスを理解し、製品の今後の可能性とリスクを含めて計画を立てて取り組める

とはいえ、(3)の要素が一番重要視されるのかもしれません。多品種小ロット生産ができる企業は少なくはありませんが、新しいビジネスのリスクと利益の確保を考えると、前に進むことはない、という企業さんが多いのではないかな、という印象を今回強く受けました。また、海外取引経験が無い企業さんの場合、(1)の条件が一番のハードルになっていると思います。

今回の大阪でのイベント実施では、ビジネスが生まれるチャンスがあればまずは手を挙げる、という感覚を得た、海外の商談会とは大きな違いがあったように思います。

未成熟の市場・領域に踏み込むからこそ、生まれるチャンスもあります。モヤっとした言い方になってしましますが、こうしたチャンスをものにするスキルを得ることができれば(ハードウェア・スタートアップとのビジネスに限らず)、日本の製造業にさらに多くの機会が集まるのではないかと、今回のイベントを通して感じました。
やらなければならない課題は山積み!&まだクリアになっていないことも多いですが、ひとつひとつプチプチと潰していくしかありません。

今後も模索は続きます。。。

IoT製造部(仮)

文・佐藤 麻耶

( 17年02月28日 )
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