Innovators

イノベーションこそが新しいマーケットを創造する

( 13年03月18日 ) img

ヴイストン株式会社 | 代表取締役社長 大和 信夫 
http://www.vstone.co.jp/
2000年創業。電子機器・電子装置・光学装置・ソフトウエアの研究開発・設計・製造・販売を手がける。二足歩行ロボットの開発をはじめ、教育、研究開発、趣味と幅広い分野で画期的な製品を生み出すメーカーとして知られる。ロボットベンチャー企業のパイオニア。

独創的で先進性の高いものであればあるほど、マーケティングが不可能なんです。

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アイデアがあれば、まずつくってみて、披露する。私はこの進め方で、これまで事業化に取り組んできました。世の中の多くの製品は、市場調査やユーザーからのさまざまな改善要望をベースに高品質化や多機能化をめざして改良を続けています。いわゆるマーケットインの発想です。ただ、我々が志すイノベーションは市場を自ら創造するプロダクトアウト型なんです。新しい技術、革新的な製品は、ユーザーにとってそもそも見たことも触ったことも、ましてや使ったことがないもの。独創的で先進性の高いものであればあるほど、マーケティングが不可能なんです。今世の中に存在しない製品についてユーザーにヒアリングすると、市場にミスリードされた製品ができてしまう恐れもある。「売れる/売れない」は結果であり、つくる前から「売れる/売れない」を議論するのはよくないとすら思います。だから、まずプロトタイプ(試作品)で構わないのでつくる、そして市場に出す。荒削りで構わないんです。プロトタイプなのでリスクも少ない。考えてみれば、市場調査ってそもそも製品の投資リスクを測るためのものでしょ?だったらプロトタイピングで市場の反応を見ればいい。それでも十分投資リスクは判断できるわけです。

大きな投資リスクを負って製品化するかどうか悩んだ挙句、取った手段がクラウドファンディング

yamato022005年に、1台40万円の鉄人28号のロボットを開発した時のことです。誰もが知っているアニメのロボットを商品化するのはオリジナルデザインのロボットを開発するよりも販売におけるリスクは本来低いんですが、プロトタイプができた時点で価格面の問題が生じました。当初の想定より大幅に高い販売価格を設定せざるを得ない状況になったんです。大きな投資リスクを負って製品化するかどうか悩んだ挙句、取った手段がクラウドファンディング(プロジェクトなどの推進において、不特定多数の人がインターネット経由で財源の提供や協力などを行うこと)。購入申込みをしたユーザーに販売価格の一部を先払いしてもらい、製作資金にすることにしました。製品もまだないのに、「鉄人28号をほしい人はお金を先に支払って下さい」といった具合です(笑)。ところがこれが売れに売れた。プロジェクトとしては大成功を収めました。この製品が世に出るまでのプロセスはまさにイノベーティブだったと思います。

インスタントラーメンのタイマーロボットも面白い事例です。このロボットは、ラーメンのお湯を入れて待っている3分の間、人に話しかけ続け、3分が経過するとしゃべるのを止めます。まるで「ラーメンができたから、僕はおしゃべりを止めるよ。冷めないうちに早く食べてね」とでも言うかのように(笑)。通常、タイマーは3分後にブザーが鳴って所定の時間が過ぎたことを知らせるでしょ? でもこのロボットはそれとは逆の発想で誕生しました。

私は今まで「とにかくモノをつくることが楽しくて仕方がない」という人たちと仕事をしてきました。彼らには常に「好きなものを好きなようにつくってほしい」と言い続け、それができる環境を提供してきました。私の仕事は、彼らがつくったモノに意味を施し、世に送り出すことです。イノベーションとして世間から評価されるものは、結果的に新たなマーケットを創り出す力を持っている。これこそが私が志す「市場創造型イノベーション」です。

( 13年03月18日 )
  • ※ 最初は大阪イノベーションハブが間に入らせていただきますが、最終的にはプレイヤーの判断によりますので、
    必ず連絡がとれるとは限りません。ご了承ください。
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