Innovators

神様にしかできなかったこと。技術がそれを可能にしていく。

( 13年03月18日 ) img_

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
知能ロボティクス研究所 ネットワークロボット研究室 | 研究技術員 ナガスリカン・カラクリ氏

インド生まれ。カーネギーメロン大学(アメリカ:ピッツバーグ)電気・コンピューター工学理学修士号取得。主な研究対象は聴覚マップの生成とその応用におけるロボットの自律制御など。視覚、聴覚のセンシングを総合した多様性のある「人間のような環境認識」を追求。

今、集中している研究テーマは「ロボット聴覚」。

僕が主にしている研究はアンビエント・インテリジェンス、環境知能(環境認識)とでも言えばいいのかな。僕のゴールは、ビジョン、聴取、キネクト、マイク、レーザー・スキャナなどのような能力を備えたロボットを開発することなんだ。これらの能力をロボットに装備するだけでなく、ロボット自身が周りの環境を受け取った情報から理解できるようにしたい。この技術があれば、ロボットは今、自分がどこにいてどうすればいいかが分かるようになるんだ。たとえば、ある朝、僕が目覚めた時、僕の脳はここがどこだろう?と考え始める。テーブルや椅子があれば、ここは会議室だなとか、日差しが窓から入り込めば、今は日中なんだなとか。周りのみんながちゃんとしたスーツを着ていたら公式な会議の最中なのだなとかが自然にわかる。これらは人間にとってはすごく簡単なことだけどロボットがこれらを瞬時に理解することは非常にむずかしいんだ。
だから特に今は、オーディオ、つまり音について集中して研究している。オーディオというのは人間の声も含まれるんだけど、家の中で複数の人が同時にばらばらに行動したときや、テレビやエアコンなどの音も、この室内のオーディオマップデータをリアルタイムに把握することができれば、ロボットが状況に応じて行動できるんだ。僕はいつか、人間の五感全部に等しいような、環境を認識するシステムを作りたいと思っているんだ。

技術は世界の問題を解決する唯一のもの。

以前、カーネギーメロン大学での授業でATRでの石黒先生の驚くべき研究風景を見て興味を持った。そこでATRの知能ロボティクス研究所にくることになったんだ。ロボット技術の盛んな国や地域は多くあるけれど、ロボット技術は防衛のためのものが多い。日本のロボット技術は社会に役立つ日常生活を助けるためのものが多い。僕は技術はそういうことの為にあると思うんだ。僕は「技術」で世界のすべての問題を解決できると強く思うんだ。障がいを持つ方々を助けることができたり、貧困を解決したり、地球温暖化を改善したりといろいろなことをね。研究とは、人間の知識の倉庫に新しいものを創造したり追加したりしていくものだと思うんだ。僕たち研究者は、先人の研究の上に自分の研究を重ねていく。このスタイルが素晴らしいと思うんだ。たとえばニュートンがいなかったら、そしてニュートンの発見を使ってはいけなかったら、今ごろ何もできなかったと思うよ。そうだろう?

僕の10年、15年後の姿。それをちょっと想像してみた。

これから10年、15年ぐらい経っても、僕はこの世界にいると思うよ。いろいろな技術を学習して多くの人と関わったあとには、僕の生まれた国であるインドに戻って技術のシンクタンクを作りたいと思う。さっき話したように、世界にはまだまだいろいろな問題があるけれど、それを技術で解決するような機関を作りたい。僕は技術が世界のすべての問題を解決すると信じているんだ。腐敗、貧困、さらに罪のない多くの人の命を奪う暴動なども。今の段階では、技術がどうやってそれらの問題すべてを解決できるかわからないけれどそれは絶対にできる! 空想だと思うかい? そうでもないよ。インドの神話では
遠くにあるものを手のひらの中で見せることは神様にしかできないことだったんだ。でも今、ライブカメラやインターネット、モバイル端末はそれを可能にしている。例えば、生まれつき目の見えない子供がいたとして、その子の脳に直接映像を送り届けることができたなら、今までずっと暗闇の世界で生きてきたその子にお母さんの顔を見せることができるんだ! 手や足を失ったかたに義肢をつけてあげられる! 部屋に入って手をたたくだけでライトがつくんだ! 素敵だろう!?神様にしかできなかったことを、技術でできるようになる――僕は強くそう信じているよ。

( 13年03月18日 )
  • ※ 最初は大阪イノベーションハブが間に入らせていただきますが、最終的にはプレイヤーの判断によりますので、
    必ず連絡がとれるとは限りません。ご了承ください。
PAGE TOP