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来客プロセスからビジネスの現場を改革!身近な課題から始まった挑戦は、世界を舞台に広がっていく。

長沼 斉寿 氏/Yoshihisa Naganuma

代表取締役CEO
会社名ACALL株式会社
ウェブサイトhttps://www.acall.jp/
事業内容来客対応RPAサービス「ACALL(アコール)」の開発および販売

来客プロセスからビジネスの現場を改革!身近な課題から始まった挑戦は、世界を舞台に広がっていく

さまざまな目的で、日々多くの人が訪れる企業。来訪者であるゲストと、ゲストを迎えるホストを適切に結びつける受付業務は、企業運営において欠かすことのできない業務のひとつだ。
しかし、この受付業務には、人件費の負担や連絡ミスをはじめとする対応時のトラブル、不意のアポ無し訪問に割かれる時間のムダなど、多くの課題を抱えている。それらの課題に着目し、来客業務の自動化を実現したのが、ACALL株式会社が手掛ける来客対応RPAサービス『ACALL(アコール)』だ。2016年のリリースよりたちまち話題になり、登録企業数は当初の50社から2018年には1500社へと急増。今なお着実に拡大し続けている。
「実はこのシステム、もともとは自社用に開発したものだったんです」と話すのは、代表取締役CEOの長沼斉寿氏。かつて自身も、受付業務に頭を悩ます経営者の一人であったという。

自社の来客対応の課題がACALLの原点。

長沼氏がACALLの前身である株式会社BALANCE&UNIQUEを立ち上げたのは2010年。企業向けアプリケーションやプラットフォーム開発、SaaSなどのシステム構築を手掛ける会社としてスタートを切った。「エンジニア中心の小さな組織で、専任の受付担当はおりません。来訪者があれば誰かが業務の手を止めなければならず、その都度集中力が途切れてしまう。生産性の面で大きな負担となっていました」と長沼氏。一方、ゲストの視点から見れば、取り次ぎの停滞や不十分な対応がストレスや不快感につながりかねない。「業務の効率化とおもてなし。二律背反する要素を両立し、ゲストとホスト双方がハッピーになるものをつくりたい――それが、『ACALL』開発の出発点でした」。

当時、受付システムはあったが、ほとんどが専用端末機器を導入し個別に開発されたソフトウェアを運用する大がかりなもの。そこで、長沼氏が思いついたのが、自社が得意とするクラウドを活用し、ipadアプリと連動させるシンプルな仕組みだ。「ホストがあらかじめアポイントを作成しておけば、ゲストが来訪した際に入り口に設置されたタブレット端末を操作するとホストのスマホに来客ありのメッセージが瞬時に届く。また、アポなしの来訪者であれば、タブレットに受け付けできない旨を表示し人の手を煩わせることなくスマートに対応できるというイメージです」。

実際に使い始めると、業務の生産性が格段に向上しただけでなく、お客様からも「これ良いですね」という声や問い合わせ多く寄せられ、確かな手応えと将来性を確信し2015年に正式に事業化することを決断。2017年に『ACALL』と同じ名前に社名変更し、事業の一本化を図った。

『OMOTENASHIエンジン』が、来客プロセスそのものを変えていく。

現在、快進撃を続けるACALLを追うかのように、受付業務のクラウド化を謳う企業やサービスが出現している。しかし、他と圧倒的に一線を画しているのが、“来客プロセスそのものを自動化する”というコンセプトだ。

「よく、受付のシステムでしょ?と言われることがありますが、それはあくまでも『ACALL』の一端にすぎません。受付、入館管理、会議室管理と、これまで個別に利用していたものを包括的に捉え、一貫してより良いプロセスを実現していくのが本サービスの狙い。その鍵となるのが、独自に開発した『OMOTENASHIエンジン』です。アポイントから入館・受付・会議までの対応を含めた来客プロセスを一元管理することで、ホストとゲストをスムーズにマッチングし、円滑な商談機会をコーディネートする役割まで見据えた開発をしています」。

さらに、ipadアプリは手軽にダウンロードできるうえ、インターフェースのデザインや表示項目などを自由にカスタマイズすることが可能。用途や来訪者の状況に応じた使い方はもちろん、エントランスや会議室のイメージアップを図れる点も、ユーザーに支持される所以だ。来客プロセスは企業によって異なり、求められるカタチは千差万別。だからこそ、来客プロセスそのものを考え再構築していく『ACALL』は、企業のみならず幅広い分野で期待が高まっている。そのひとつが、行政機関だ。2018年4月に公募された神戸市の行政課題の解決へスタートアップ企業と組む官民一体型プロジェクト「Urban Innovation Kobe(アーバン イノベーション 神戸)」の1社に選ばれ、現在、行政窓口へのスムーズ案内において実証実験が行われている。

世界中の来客プロセスを、もっとスマートに、もっとハッピーに!

そんなACALLには、設立以来変わらないものがある。それは、“「新しいはたらき方」を自らが実践して、発信する”という企業理念。まさに『ACALL』は、目の前にある課題に取り組み、自らが実践することで新たな価値を創造し生まれたものだ。

「お客様のご要望というビジネスチャンスありきで事業を展開するのもひとつのカタチだと思います。しかし、それだけに留まらず自分たちが本当にやりたい!つくりたい!という情熱も不可欠。お客様の“欲しい”と自分たちの“つくりたい”、その両方が一致してはじめて、事業は成長するんじゃないかと思います」。

IoTやAIの発展、さらには社会情勢を背景とするセキュリティの強化など、ビジネスを取り巻く環境は大きく変わっている。その中で『ACALL』もまた、機能の進化、用途の多様化と、垂直・水平の両軸で広がっていくと長沼氏は確信している。

「今後は、国内はもとより世界中にこのサービスを発信していく予定。そのためにも、日本のおもてなしという文化をしっかりとリモデルし、世界の人たちにスマートに使ってもらえるようなものに成長させたいですね」。
来客プロセスの変革を通して、ビジネスの現場を改革し世界の人々をもっとハッピーに。長沼氏の熱き挑戦は、まだまだ続いていく。

(取材・文:山下満子)

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