ホームプロジェクトビジネスへの視点を再確認する機会となったピッチコンテストへの挑戦。「まずは行動」というスタンスが、学びと人とのつながりを生み出していく。

ビジネスへの視点を再確認する機会となったピッチコンテストへの挑戦。「まずは行動」というスタンスが、学びと人とのつながりを生み出していく。

 

新たな産業を創造する未来の技術として、幅広い分野から注目を集めるプリンテッド・エレクトロニクス。その発展の鍵を握る導電性ナノインクの開発・製造を手掛ける「C-INK」の金原正幸社長は、もともと大学で無機ナノ粒子の研究に従事する研究者だった。
岡山大学の助教を務めていた2010年に独自理論による導電性金属ナノ粒子の開発に成功し、2012年に起業。極めて高い安定性と低い焼結温度を両立させ、かつ大量生産を実現する世界でも類を見ない超高純度ナノインクは、従来の導電性ナノインクが抱えていた問題点を解決する新技術として、大きな期待を寄せられている。
長年、研究者として活躍してきた金原社長は、「起業当初は、ビジネス展開に関する知識やノウハウはなかった」と話す。狙うべき市場として東南アジアに焦点を当てつつも、「まずはどんな可能性が考えられるかを探りたい」と、JETRO(日本貿易振興機構)が主催する海外視察ツアーに参加。シンガポール、シリコンバレー、イスラエル、中国・深センに赴くなかでOIHと出会う。

 

 

「最初にOIHから提案いただいたのが、海外市場を狙うスタートアップのピッチコンテスト『GET IN THE RING OSAKA』への登壇です」と金原社長。日本だけではなく海外からも多くのスタートアップが集結し、特設リングの上で事業を競い合う本イベント。英語による臨場感あふれるピッチバトルを繰り広げ、決勝戦まで勝ち進んだ。
その後、同様のピッチ大会にも登壇した金原社長だが、こうしたイベントを、ビジネスには直接関係ない“エンターテインメント”として捉えつつも「新たな気づきや学びがある」と話す。審査員からの「あなたはまだサイエンティストであってビジネスマンではない」という指摘に、ビジネスにおける視点や必要とされる情報がどういったものなのかを、改めて見直す機会にもなったという。

「新興企業はリソースが少ない訳ですから、しっかり絞り込んで一点突破するぐらいの勢いが必要です。そのためにも、自ら考え、的確にプレゼンテーションすることが重要。そうした意味でも、ピッチイベントへの参加は意義があると感じますね。起業当初はやるべきことや、どんな可能性があるのか分からないので、考えると同時に、まずは行動を起こすことが大事だと思います」。

 

(写真提供:Courtesy of GIA Secretariat)

 

金原社長自身、ジェトロを通じてさまざまな国に行き、OIHとの出会いで登壇したピッチイベントを通して視野を広げると同時に、「人とのつながりも生まれた」と話す。「事業は一点突破に向け絞り込むことが大切だと考えますが、それを深めるためには自分たちだけでは不足することも。特に、自分にはない経営ノウハウを持った経験者のアドバイスはとても重要だと感じました。いかに豊かな経験に基づく確かなノウハウを得るか、そういったアドバイスを得る貴重な機会でもあったと思います」。

 

(写真提供:Courtesy of GIA Secretariat)

 

今後、将来性豊かなハイテク・スタートアップを紹介する『ドイツ・イノベーション・チャレンジ』への登壇を控えている金原社長。「こうしたチャンスが与えられるのもOIHと出会えたおかげ。ピッチイベントはバックグランドの違う人たちに自分たちの事業をどう伝えるかのトライアンドエラーの良い機会だと思うので、思い切り楽しみたいですね」。
ひとつの優れた技術開発からスタートした金原社長の事業だが、「それはビジネスの本流ではない」と話す。「今度は生活の中の不満から新たな価値を創る、本質的なものづくりにも挑戦したい」と、未来に向けさらなる前進を図っている。

 

後日談

(写真提供:Courtesy of GIA Secretariat)

 

『ドイツ・イノベーション・チャレンジ』は、ものづくりや印刷の分野においては発祥の地でもあるドイツのイベント。金原社長自身も「C-INKの事業とは相性がいいかもしれない」と展望を語ってくれたが、見事、優勝されたとの報告をもらうことができた。
今後の躍進が期待される。
(文:山下満子)

 


<会社情報>

株式会社C-INK
代表取締役社長 金原正幸

URL:http://cink.jp/


 

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