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大企業xスタートアップのオープンイノベーションをガンガン実現するDelta航空【CES 2020】

更新日:2021年01月05日(火)

大企業がスタートアップとコラボし、新しい価値を生み出す。これはシリコンバレーに拠点を持つ日本企業の最重要ゴールの一つでもあります。一方、成功例は非常に少なく、数多くのコラボが失敗に終わっている現状です。

Delta航空による複数スタートアップとのコラボ事例

航空業界大手のDelta航空が、CES 2020でキーノートスピーチを実施。そこで語られたスタートアップとのコラボ事例をご紹介。創業95年の老舗航空会社であるDeltaは、いかにしてスタートアップと協業をしているのでしょうか。

1. Lyft: 空と陸の移動をスムーズに連動

DeltaとLyftは、お互いのユーザーデータを共有することで、乗客のフライトに合わせて、到着後にライドが迎えに来るサービスを展開。

また、Lyftで$1使うごとにDeltaの1マイルが加算される仕組みで、既に累計15億マイルを計上しているそう。Deltaのマイルで車両の種類のアップグレードも可能。

参考:デルタ航空、Fly Deltaアプリを 旅行のストレスを軽減するデジタル・コンシェルジュに

2. WHEELS UP: プライベートジェットサービス

最近アメリカで注目されているのが、サブスクリプションやオンデマンド型のプライベートジェットサービス。その中でDeltaはWHEELS UPというサービスとコラボし、プライベートジェットのオプションの提供も開始。

参考:デルタ航空、会員制プライベート航空会社のWheels Upと提携

3. CarePod: ペット旅行サービス

国土の広いアメリカでは、旅行時に飛行機に乗る場面も多く、それはペットも同じ。通常ペットは貨物室での移動で、飼い主が受けるストレスも大きいもの。ペットとの旅行改善に特化したのがCarePod。専用のケージや状況を逐一通知するアプリを通じて、飼い主に安心感を与えてくれます。

参考:デルタ航空、米国内線でペット専用の輸送装置を提供、最新技術で水分補給や移動トラッキングも

4. Sarcos: 整備や荷物を運ぶ際のパワースーツ

機体整備や荷物を運ぶ際の怪我が絶えないという課題に対し、DeltaはSarcosとコラボし、彼らが提供するパワーアシストツールを活用することで業務の改善を実施。

参考:デルタ航空、業界初の従業員向けパワードスーツの開発に向け サルコス・ロボティクス社と提携

Sarcos

5. MisappliedSciences: パラレルリアリティー画面

空港の電光掲示板には多くの情報が表示される一方、個々のユーザーに必要な情報は少ない現状。そこで、搭乗客の顔をカメラで認識し、顧客それぞれが求める情報だけを最適な言語で表示するテクノロジーを開発するスタートアップとコラボしました。

参考:デルタ航空が採用するパーソナライズディスプレイ

MisappliedSciences

6. Vyv(旧社名:vital vio:) 光学テクノロジーでキャビン清掃

機内をより迅速に衛生的にすべく、LEDを利用して菌の繁殖を抑えるテクノロジーを提供するvital vioとパートナーシップを締結。医療現場で活用されるサービスを航空業界向けに転換しました。

参考:Troy startup inks deal with Delta to bring bacteria-fighting lights to planes(英語サイト)

Vyv

7. Global Citizen: 発展途上国の飢餓や環境保護に取り組む非営利団体

Delta航空のコラボは利益追求だけでなく、社会貢献や発展途上国支援にも及びます。Global Citizenの活動に対し、無料のフライトや食事を提供することでより良い世の中の実現もめざします。

参考:デルタ航空、「CES 2020」と「Global Goal Live」参加者のフライトをカーボンニュートラルに

Vyv

Delta航空はハイスピードで複数のスタートアップとのコラボを実現しています。創業100年近い大企業がどのようにして実現したのでしょう。下記の5つのポイントが重要だと考えられます。

1. スピードの速さ

スタートアップと大企業の最大の違いは、決断と実行に要する時間。新しいことの推進にスタートアップが爆速で進むのに対し、大企業は承認プロセス一つとってもゆっくり行う。もし大企業がスタートアップのペースに合わせれば、コラボの可能性は上がりやすいでしょう。

2. バリューの共有

バリューとは、取り組みを通じて実現したい世界観のこと。利益だけではなく、世の中に対してどのようなインパクトを与えたいかという具体的なバリューの共有がないとコラボは頓挫しがち。

3. 長期的なビジョン

Delta航空とLyftの取り組みは、3年近く水面下で話を進めていました。それほど企業間でアウトプットを生むには時間がかかるということ。スピードを維持しつつ、長期的なビジョンを持つ必要があります。年間予算ごとにプロジェクトが右往左往してはコラボは実現しません。

4. トップのコミットメント

スタートアップとの協業には必ず経営トップが関わること。お互いの経営課題を話し合う機会を定期的に設ける必要があります。担当者レベルでは目線が違って話が合わないことに。あくまで結果を出すことを目指すには、トップからのコミットメントが必須です。

5. ユーザー視点からのアプローチ

これも大企業とスタートアップの視点の違い。自社都合で物事を進めている大企業がまだ多くあります。DeltaのCEOのEdが最も優れている点は、自信がユーザーの立場になって課題を考えているところでしょう。

大企業とスタートアップの協業は歩み寄りが重要で、決して簡単なものではありません。しかし、お互いの強みを生かしたシナジー効果から、唯一無二のサービスが生まれる可能性があるのです。

執筆者:btrax Japan

編集・編集責任者:大阪イノベーションハブ 鈴木

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