Clubhouseで明確になった後発サービスが勝つための5つのポイント
更新日:2021年03月17日(水)

日本で人気が急上昇したClubhouse。この現象に対し、ある点に関して考えていきます。
それは、サービス形態自体は斬新ではないということ。音声サービスは以前も存在し、SNS要素を追加したタイプも先発が既にリリースされていました。
後発のClubhouseがなぜこれほど話題になっているのでしょうか?この謎を解くことがサービスデザインのヒントになります。
後発でもヒットした例や、先発でも失敗した例を見てみましょう。実は成功しているサービスの多くが後発です。
後発でもヒットしたプロダクト例
■ Zoom
先発サービス: Skype, Google Meet
リモートワーク状況下で大成長を遂げたZoom。SkypeやGoogle Meetが存在し、レッドオーシャンだと思われた市場に彗星のごとく登場。
しかもZoomは無料プランに制限をかけ、有料プランを提供。それにより売上も上昇、上場も果たしました。
■ Slack
先発サービス: Skype, Google Meet
現在では堂々たる地位にあるSlackも、実は後発。
以前にもHipChatやYammer, Chatworkなど、複数のビジネスチャットツールが存在。しかし、Slackはそれらを尽く追い抜かしました。

先発サービス: Friendster, MySpace
Facebookが元祖SNSサービスだと思っている人も少なくないでしょう。しかし以前にもFriendsterやMySpaceといった類似サービスが存在していました。

先発サービス: Yahoo, Excite
ネットの普及開始後、最初期のサービスが検索エンジン。その中でGoogle Searchは“最遅で”リリースされたものです。
当時はYahoo, Excite, Lycos, AltaVista等が乱立し、利用者ランキングが頻繁に入れ替わる検索エンジン戦国時代。そんな中で天下布武を成し遂げたのがGoogleでした。
■ iPhone
先発サービス: Blackberry, ザウルス, ガラケー
世界初のスマホはiPhoneであることは間違いありませんが、実はその前にも類似デバイスは存在していました。
Palmやザウルスに代表されるPDAやBlackberryです。また、ネットに繋がる携帯と考えるとガラケーは10年以上前からありました。

■ Instacart
先発サービス: Webvan
生鮮食品のデリバリーサービス、その代表がインスタカートです。
リリースは2013年ですが、その10年ほど前に似たコンセプトのスタートアップが存在しました。例えばWebvanは、現在の Instacartと同じサービスとして始まりましたが、90年代のドットコムバブルの終焉とともに空中分解。
後発でも勝てるサービスになるための5つのポイント
上記のサービスはなぜ市場を獲得できたのでしょうか?そこにはいくつかの重要なポイントがあります。
1.「何をやるか」より「どうやるか」
Clubhouseのヒットで明らかになったのが「どうやるか」の重要性。誰もやってないサービスを作ろうとしがちですが、誰にも必要とされないものになる可能性も。
似たサービスがあっても「やり方」の工夫次第。Facebookはやり方を工夫したことで、先発のサービスを凌駕することができました。
2. ユーザー体験が差別化要因に
鍵を握るのはユーザー体験。似た機能のサービスでも、使いやすいものとそうでないものがあります。これを左右するのはUXの質。特にデジタル系サービスは、UXデザインによってその価値が決まります。
体験が良ければ、後発でもユーザーを獲得することは可能です。Gmailが良い例です。それまでのHotmailのスパムや広告が多く、使いにくかった点に着目。使いやすさを追求し、世界一のメールサービスに成長しました。
3. 既に存在していても諦めない
既存 = 試す価値がないということではありません。Zoomの例で考えると、それまでも多くの無料ビデオツールが存在。しかし、より映像と音声の質を高め、ターゲットをビジネス利用に絞ったことで、企業ユーザーを獲得することができました。
4. コアユーザーを喚起できるか
ヒットするサービスは、ターゲットユーザーをしっかりと定め、彼らを喚起しています。
例えばSlackは、初期のターゲットをエンジニアに絞り、徐々に一般ユーザーにも拡大。UCDの概念を踏まえたサービスデザインが成功を導きました。
5. 市場とのタイミングが合うか
成功を左右する最大の要因がタイミング。早すぎても遅すぎても落とし穴になります。
良い例が、Webvanの失敗でしょう。90年代後半はネットの普及もまちまちで、スマホもありません。そんな時代にネットでの生鮮食品のデリバリーサービスは時期尚早。アイディアは良くとも、時代に合っていませんでした。
まとめ
様々なサービスが存在する現在、存在していないサービスを考えるのは至難の技。もし考えているサービスに「今さら感」があったとしても、諦めるのは早いかもしれません。
執筆者:btrax Japan
編集・編集責任者:大阪イノベーションハブ 鈴木