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プロダクトの未来対応を実現するフューチャー・プルーフという概念

更新日:2021年08月23日(月)

「フューチャー・プルーフ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
将来を予測し、プロダクトやビジネスモデルが価値を持ち続け、陳腐化を防ぐ方法をデザインするプロセスを意味します。
サービスデザインでは、サービスやプロダクトが時代と共に消滅するのを防ぐための考え方です。

なぜフューチャー・プルーフが重要なのか?

フューチャー・プルーフの概念を理解し、未来対応することが重要なのは、生み出されたサービスの寿命をなるべく長くし、ビジネスとしての価値を守ることになるからです。
逆に、短い時間軸だけで考えていると、リリースしても短時間で消滅する可能性もあります。

ほぼ消滅したプロダクトとそろそろ消滅しそうなプロダクト

一時は絶大な人気がありながら時間とともに陳腐化し、ほぼその存在価値が無くなった、もしくは無くなりつつあるプロダクトを考えてみましょう。

ほぼ消滅したプロダクト

  • – ワープロ
  • – カセットテープ
  • – CDラジカセ
  • – 電報

今後なくなる可能性の高いプロダクト

  • – Fax
  • – タクシー
  • – フィルムカメラ

事例1) 未来対応が全くできていなかったガラケー

フューチャー・プルーフに失敗した例をいくつかご紹介します。
一つ目はフィーチャーフォン。いわゆるガラケーです。

2010年代前までは日本国内の携帯電話のほとんどがガラケーで、圧倒的なシェアを獲得していました。

iモードなどの携帯用コンテンツや、周辺アクセサリーからの売り上げも多く、巨大エコシステムが構成されていました。スマホが根こそぎ市場を破壊するまでは…

そして、iPhoneとAndroidを中心としたスマホの普及に伴い、ガラケーのハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ、周辺アクセサリーの業界は破壊的なダメージを受け、衰退していきました。

ガラケー

iPhoneを完全否定していた日本のユーザー達

iPhoneが発表された際の日本の消費者の反応があります。当時は、ガラケーがいわゆる携帯電話として利用されていた時代で、ユーザーもガラケーとiPhoneを同レベルのものとして比べたことで、以下のような予想をしていました。

“iPodに電話が付いただけじゃないか”
“これは何をするための道具? 音楽を聴くため?電話をするためのもの?”
“これを持つメリットが感じられない 音楽聴きたいならiPodでいいし電話メールは携帯でいいしWEBサイトにしても最近の携帯なら見れる”
しかし、日本でのiPhoneのシェアは約70%で世界1位の普及率になっていることからもわかる通り、
彼らの予想は大幅に外れ、ガラケーは消滅してしまったのです。

事例2) パソコンの普及で消滅したワープロ

パソコンがほとんど主流の現在、ワープロはアプリケーションとして取り込まれ、ワープロ自体の存在価値はほぼなくなっています。しかし、ワープロが主流の当時は、これを予想することが難しかったようです。多くの家電メーカーがワープロの生産を続けていました。その様子は、1989年に行われた下記の雑誌の関連インタビューを見てもわかります。

ワープロはいずれなくなるのか?

ユーザーは未来予測をしてくれない

フューチャー・プルーフを実現することが難しい理由の一つが、既存のプロダクトが基準となるため、ユーザーは未来を教えてくれないところです。これは、iPhoneに対する当初の日本ユーザーの反応を見てもわかるでしょう。

ヘンリー・フォードが自動車を発明した際にも、下記のように語っています。 ヘンリーフォード したがって、未来に対応できるプロダクトを作るには、デザイナー達が考えるしかないのです。

未来に起こる可能性のある主な変化

フューチャー・プルーフを行う際に注視すべき未来に起こる可能性のある変化は、少し考えてみても下記のような変化が想定できます。

  • テクノロジーの進化 (例: スマホ登場)
  • 生活の変化 (例: リモートワーク)
  • デザイントレンドの変化 (例: モバイルファースト)
  • 他企業のサービスの台頭 (例: 携帯メール vs LINE)
  • 海外サービスの進出 (例: mixi vs Facebook)
  • AppleやGoogleなどの有力企業が参入 (例: iTunes)

変化のスピードがどんどん速くなっている

上記の変化が同時多発的に起こることも考えられます。また、その変化のスピードはどんどん速くなっています。

5000万ユーザー

異なる時代のプロダクトが、5,000万ユーザーを獲得するのに要した時間をご紹介します。
例えば、飛行機の場合、5,000万人が利用するには68年かかりました。自動車なら62年、電話なら50年です。

それが21世紀に入り、多くのユーザーが利用するまでの時間は飛躍的に短くなり、Facebookなら3年、Twitterは2年。ポケモンGOはわずか19日で5,000万ユーザーを達成しています。

未来対応するプロダクトをデザインするための5つのポイント

では、実際にフューチャー・プルーフされたプロダクトをデザインするにはどんな点に気をつけるべきなのでしょうか?

1. 人間の本質的なニーズへの対応

時代が変化しても、愛され続けるプロダクトの多くは、人間の根本的なニーズに対応できている場合が多いです。

例:
誰でもパソコンを利用できるソフトを提供したMicrosoft

2. 内製するものと外部からの取り込みのバランス

多くのコンテンツの更新が必要になる場合、コア機能以外の部分を外部サービスと連動させることで、自動的にアップデートされる部分を増やすことができます。

例:
位置情報にはGoogle Mapsを利用

3. 普遍的な価値と短期的なトレンドの違いの理解

サービスを時代と共に変化させることを前提にデザインする場合、変えるべきではない普遍的な価値と、臨機応変に変化すべき部分を想定しておきましょう。

例:
iMacの提供する普遍的な存在価値と、デザインの柔軟性

4. 永続的なUXの実現

UXデザイの領域のフューチャー・プルーフを実現するには、直感的な操作性を実現し、表面的なデザインの変更を行ったとしても、本質的なユーザー体験はタイムレスに設計することも重要です。

例:
表面的なデザインが変わってもユーザー体験は10年以上変わっていないスマホの操作性

5. 時にはサービス終了も選択肢に

もし時代に対応できないと判断した場合は、勇気を持ってプロダクトを終了させることも一つの選択肢です。

例:
Amazon Fire phone, Apple ニュートン, Microsoft Windows Phone など

まとめ:サービス開発には未来対応を視野に

サービスを考える際には、現在の時間軸だけではなく、未来の変化も視野に入れることが重要です。
そうしなければ、もし現在求められている内容だったとしても、時代の変化と共に急激に陳腐化が進み、廃れてしまう可能性も少なくありません。
逆に、未来予測を行い、現在のユーザーが気づかないニーズに着目してサービスをデザインすることができれば、スマホやシェアリングサービスのようなヒットを生み出せるかもしれません。

執筆者:btrax Japan

編集・編集責任者:大阪イノベーションハブ 大谷

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