
開催概要
SIO(スタートアップ・イニシャルプログラムOSAKA)アクセラレーションの5か月にわたる支援プログラムの集大成となるデモデイが、2026年2月8日(日)に開催されました。本イベントでは、先輩起業家やVCとのメンタリング、仮説検証ワークショップなどを経て、ビジネスアイデアをブラッシュアップした12名の起業家がピッチを披露。事業化をさらに加速させるネットワークが生まれる1日となりました!
【基調講演】
『「食」は「人」の信念で切り拓いたブルーオーシャン。27歳での創業から東証上場、そして再起の軌跡』
クックビズ株式会社 代表取締役社長 藪ノ 賢次 氏
成果発表に先立って行われた基調講演には、クックビズ株式会社の創業者であり、30代の若さで同社を上場へと導いた藪ノ賢次氏が登壇。リーマンショックやコロナ禍の危機を乗り越え、市場の声に耳を傾けながら事業と向き合い続けた軌跡をお話しいただきました。
最後は「起業20年間の学び」として、参入する市場とタイミングの重要性や、ミッション・ビジョンの作り方、スピードに捉われず着実に事業の優位性を積み上げる姿勢など、起業家にとって大切な考え方と在り方も示してくださりました。
【コメンテーターご紹介】
続いて、各事業ピッチに対して質疑応答および講評を行う3名のコメンテーターが紹介されました。
■高原 瑞紀 氏
ジャフコ グループ株式会社 西日本支社長/パートナー
■古長 由里子 氏
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社 執行役員/九州DXセンター長
■藪ノ 賢次 氏
クックビズ株式会社 代表取締役社長
それぞれが12名の登壇者にエールを贈り、いよいよ事業ピッチがスタートしました!
【事業ピッチ】
木方 泰輔 さん
アトツギベンチャーとしてのファクトリーブランド『Craftry』
「職人の想いや産地のストーリーがある品が、大量生産品に置き換わっていく。」そんな問題意識から、作り手にも適切に利益が還元されるファクトリーブランドのアイデアを披露した木方さん。
この発表に対し高原氏は、「最近話題になったリカバリーウェアのように、既存の産業でも異なる切り口で売上を伸ばした事例が参考になる」とアドバイス。藪ノ氏は、「今後もアクティブにピボットしながら、自分の勘どころを掴んでほしい」とエールを贈りました。
SweetLeap株式会社 代表取締役 石谷 太志 さん
AIで口コミ資産を最大化し、小規模店舗の集客を“広告費ゼロ”で実現する口コミ集客DXサービス
続いて登壇した石谷さんは、広告に費用をかけられない小規模店舗向けに、アンケートを基にAIが自動で口コミを生成するサービスを提案。「良いものを提供している人が正当に評価され、本業に集中できる世界を作りたい」とビジョンを語りました。
石谷さんの発表後、藪ノ氏は「顧客を獲得するためのマーケティング戦略を明確に」とアドバイス。高原氏は、「ビジネスとして成立する形で広がれば、すごくおもしろいサービスになる」と賛辞を贈りました。
楠 和馬 さん
事例共有による連携と共助を促進、療育支援AIパートナー『コグロウ』
子どもの発達支援を行う療育事業者の事務作業を、AIで自動化・効率化するビジネスプランを発表した楠さん。SIOアクセラレーションの成果として、福祉業界全体へ事業の幅を広げる構想が生まれたこともアピールしてくれました。
このビジネスプランに対し
古長氏は、「利用者のプライバシーに対する不安を解消する技術的・心理的な工夫を教えてほしい」と関心を寄せ、高原氏は「DXによって大きく変わる可能性がありながら、なかなかそれが進まない業界なので、いろいろな仮説を立てながら市場投入の道を探ってほしい」と期待を示しました。
株式会社digitive 代表取締役 松永 昂大 さん
多様なステークホルダー情報を自動収集・一元化し、縁(関係性)を資産化するAI基盤『カチット』
松永さんは、企業が持つ理念や、ノウハウ、マニュアル、会議の議事録など、あらゆる情報を収集して資産化するAI基盤を紹介。SIOアクセラレーションのスタート時ではアイデア段階だったものが、プログラムを経てサービス化に至り、導入実績も生まれたことを強調しました。
これに対し藪ノ氏は、「ご自身の過去の経験が活かされていて、非常に魅力的な事業。受注スピードを上げていくための考えは?」と質問。高原氏は、「導入効果は出やすいと思うが、市場が広いだけに、どこから山を登っていくかが非常に重要」とアドバイスを贈りました。
比嘉 宏之 さん
AIで募集・面接・翻訳を自動化する海外定性調査
調査会社のモニターを選定する「スクリーニング調査」を自動化し、精度の高い調査を低コストで実現するサービスを発表した比嘉さん。AIによるスクリーニングで、時間やキャパシティの制約をなくすビジョンを語ってくれました。
このビジネスアイデアに対し高原氏は、「この領域に着目した理由は?」「比嘉さんのバックグラウンドとこの領域のつながりは?」と熱心に質問。古長氏からは、「さまざまな業界で求められる、ポテンシャルの高いサービスだと思うので、ぜひ頑張ってほしい」と激励の言葉を贈りました。
LT Works株式会社 代表取締役 木村 亮 さん
旅先での仕事・体験で地域課題を解決し、つながりを生む旅のマッチングサービス
宿泊先で数時間のお手伝いをする代わりに宿泊費などが格安になる「フリーアコモデーション」に着目した木村さん。旅先での体験を求める人と、人手を求める事業者とのマッチングサービスを紹介しました。
このサービスについて
古長氏は、「人が動いて地域住民との交流が生まれる、という点で非常におもしろいサービス」と称賛。藪ノ氏は、「初期コンセプトとしては、できるだけエクスクルーシブな体験の提供を追求したほうが良い」と具体的なアドバイスを贈りました。
土田 陸斗 さん
AIの利用状況とコード品質を解析し、GitHubから候補者の実力を分かりやすく示す採用支援SaaS
「AIがコードを書けるようになった今、成果物をエンジニア採用の判断基準にするのが難しくなっている」という問題提起から始まった土田さんのプレゼン。GitHub上のソースコードを解析し、専門知識がなくても理解できる評価レポートを作成するビジネスを発表しました。
土田さんの事業構想に対して藪ノ氏からは、「新卒採用だけでなく、M&A評価にも応用できる」と事業展開のヒントが与えられ、古長氏からは、「IT業界に限らず、いろいろな分野でサービスの拡張を検討してほしい」と助言が贈られました。
株式会社BLUE DOTS 取締役 COO 吉川 寛 さん
お客様とのコミュニケーションを統合する『AI-Native Customer Success OS』
吉川さんは、メールやチャットツールで日々繰り広げられるコミュニケーションを1つのプラットフォームに統合し、ナレッジとして活用するビジネスプランを発表。「AIで人の仕事を代替するのではなく、人には不可能だった業務にまで拡張できるようなサービスにしたい」とビジョンを語ってくれました。
吉川さんの発表について高原氏は、「非常にストーリー性のあるプレゼンテーションで見入ってしまった」と評価。藪ノ氏からは、「コミュニケーションを集約した先で、どのように生産性を上げるのか、そのプランも教えてほしい」と、事業への期待を込めた質問が投げかけられました。
ヘルスケアサーカス株式会社 代表取締役 近藤 綾香 さん
倫理審査を土台に、ヘルスケア事業の成長を支える共創パートナー
「数年前、病気になったことで“当事者目線”という武器を手に入れました」という印象的な言葉で始まった近藤さんのプレゼン。広告で効果効能を伝えられないヘルスケア商品を必要な人に届けるため、学会論文などで発表するための「倫理審査」を支援し、販売促進まで伴走するビジネスプランを発表しました。
近藤さんのプレゼンに対し古長氏は、「学術論文の世界にもAI活用が広がっているので、ぜひ参考にしてほしい」とアドバイス。高原氏は、「市場規模は想定よりも大きいと思うので、価格設定もしっかり練って事業拡大につなげてほしい」とエールを贈りました。
合同会社SKONE 代表 大谷 成 さん
副業AI人材マッチングプラットフォーム『Spot AI』
海外に比べて、まだまだ低い国内企業のAI活用率。その一因となっているAI人材不足を解消するため、大谷さんはAIスキルを持つ副業人材と企業とのマッチングプラットフォームを運営するビジネスを発表しました。
この事業について藪ノ氏は、「DXが進まない中小企業においては、そもそも外部人材の受け入れに壁があるので、そこを突破する施策を考えてほしい」とアドバイス。古長氏は、「コンサルや研修などの派生ビジネスの可能性もあると思うので検討してほしい」と、事業拡大につながる助言を贈りました。
塚本 正志 さん
製造ライン新規構築業務用 クラウドアプリケーション
「製造業は“ものモノづくりのプロ”だが“工場を立ち上げるプロ”ではない。」そんな課題意識から塚本さんは、インフラ工事と設備導入のミスマッチなど、工場や製造ラインの新設時に起こるトラブルを解消し、「業界の垣根を超えたストレスフリーな工場の立ち上げ」を叶えるアプリを発表しました。
塚本さんの発表に対し古長氏は、「半導体工場を筆頭に、工場の製造設備はどんどん自動化が進んでいる。日本だけでなく世界中にニーズがあると思うので頑張ってほしい」と期待のコメント。藪ノ氏は、「工事の発注者となる人たちがこのアプリを使いたくなる仕掛けが必要」とアドバイスを贈りました。
福井 智子 さん
スキル・経験を見える化!AIによるシフト自動作成サービス
最後に登壇した福井さんは、介護施設におけるシフト作成をAIで効率化する事業プランを発表。各スタッフがスマホで入力した希望をAIが解析し、夜勤明けの休暇や連勤などについてのルールを反映したシフトを自動生成。突発的な欠勤に対応する独自技術もアピールしました。
このビジネスプランについて藪ノ氏は、「先行サービスがある中で他社との、差別化ポイントは?」と、今後の市場開拓を見据え質問。古長氏は、「そもそも介護サービスに従事する人の母数を増やすため、業務の平準化などにもサービス対象を広げてみては」とアドバイスを贈りました。
【総評】
以上で12名全員の事業ピッチが終了。締めくくりに、コメンテーターより総評をいただきました。
藪ノ氏
「なぜ自分がこの事業に取り組むのか。そして、なぜ今なのか。この“Why me?”と“Why now?”を熟考し、市場が伸びるタイミングを見極めることで、より説得力のある事業プランになると思います。同じ起業家として、今後も切磋琢磨していきましょう!」
古長氏
「今後、サービスにAIを組み込むのは当たり前になるので、“AI以外のビジネス価値は何か”にこだわれば、どんどん良い事業になっていくと思います。デモデイの直前でピボットされた方がいたように、今後も妥協せず事業をブラッシュアップし続けてください。」
高原氏
「VCとして大切にしているのは、<起業家・チーム><市場><事業>の3点。登壇した12名はまだ事業を作っている途中なので、起業家としての背景と見据えている市場が大切です。起業は短距離走ではなくマラソンなので、楽しみながら事業を作り続けてください。」
【ネットワーキング】
ピッチ終了後は、12名の登壇者と3名のコメンテーター、そして来場者が出会い、つながる場としてネットワーキングを実施。発表を終えた起業家たちの話に多くの人が耳を傾け、意見交換を通じて事業アイデアがさらに膨らむ時間となりました。
SIOアクセラレーションのプログラムを通じて、大きな成長を遂げた12名の起業家たち。学んだのは“ビジネス”についてだけではありません。「なぜ自分がやるのか?」という問いと改めて向き合い、「スタートアップとして起業することの意味」も、それぞれの形で学ぶことができたのではないでしょうか。
今回のデモデイからまた次のステージが始まります。大きな志と共に挑戦し続ける彼らを、大阪イノベーションハブはこれからも全力でサポートしていきます!
イベント概要
イベント名:Startup Initial program Osaka(SIO)ACCELERATION DEMO DAY
開催日 2026年2月8日(日)