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イベントレポート

【2018年11月30日開催】大阪イノベーションハブ 設立5周年記念フォーラム  『Osaka Innovation X』REPORT

2018年11月30日(金)、大阪イノベーションハブ(以下、OIH)設立5周年の節目を記念し、「イノベーション」をテーマにしたフォーラムを開催。これまでの活動の振り返りや起業家のキーノートスピーチとしてサイバーエージェント 藤田社長の登壇、起業家ディスカッション、大阪市内10拠点のイノベーション施設によるライトニングトークといったプログラムを展開した。 イベントは司会進行の大阪イノベーションハブ統括プロデューサー・長川勝勇による来場者へのお礼と、設立からこれまで5年間の活動内容報告からスタート。OIHでのイベント開催実績や生まれたプロジェクト等を振り返った。
大阪イノベーションハブと歩んだ5年半の思いと共に、 さらなるイノベーション環境構築・推進を宣言
キーノートスピーチに先立ち、イベント の開会挨拶に立ったのは、株式会社Human Hub Japan代表の吉川正晃氏。吉川氏は元大阪市経済戦略局の理事として、大阪イノベーションハブの創設時から、先頭に立って関西のイノベーションエコシステムの構築と推進に尽力してきた人物だ。これまで5年間の思いと次の時代に向けたメッセージを贈ってくれた。 「大阪イノベーションハブを立ち上げ、5年間続ける中で、ハブの大事さをより深く知り、私たちは『ハブ=つなげる』ことで、新しい価値が生み出されていくことに気づきました。そうして200回以上の人と人とのミートアップ、50回以上のピッチコンテストにこだわって運営してきたんです。この場を使って立場、環境、組織、国籍、世代、性別を超えたオープンなコラボレーションの街・大阪を作っていきたいと思います。」

キーノートスピーチ

株式会社サイバーエージェント代表取締役/一般社団法人新経済連盟副代表:藤田 晋氏
日本を代表するイノベーター・藤田氏が語る、 これからのイノベーター人材育成理論
颯爽と檀上に現れた藤田氏は、大阪イノベーションハブの5周年へのお祝いの言葉とともに、自身がサイバーエージェントという会社で歩んできた起業家人生と現在の企業姿勢について話し始めた。 「私は1998年にサイバーエージェントを創業し、今年で20周年になります。当社は、毎年右肩上がりの成長を続けていますが、私たちは企業買収による企業成長ではなく、一貫して自社で事業を作り出すことで業績を伸ばすことを徹底しています。そのため私たちは、人の採用、育成、活性化にこだわり、注力しています。採用⇒育成⇒活性化の流れで、人材を育て、上手く活かすこと、そして良い事業を選択することで会社は伸びるという考えです。」と、人材活用についての考え方を語る中、創業からわずか2年後の2000年のマザーズ上場した時に中途採用を積極的に行った中での失敗エピソードに話は広がっていく。
「上場当時は、世の中的に終身雇用から、成果主義・実力主義の考えが芽生えていて、当社もそれにならって、成果主義、実力主義を基本にし、優秀な人材を中途採用により雇用しました。しかし、ストックオプションだとか、高い年俸で雇った人材は景気が良い時は活躍してくれますが、景気が悪くなり、会社にお金がなくなった途端、簡単に去っていってしまう。中長期的に見れば、良い時も、悪い時も会社としては人材には居て欲しいわけですから、この事象を改めなくてはと思ったんです。同時にこの時気づいたのは、日本には新卒からプロパーとして採用した人材がずっと長く働くというカルチャーが根強くあるということです。そこで当社はそのカルチャーに合わせた方が効率的だと考え、そこから新卒採用に力を入れ始めました。そうして2018年の今では、社員の半数以上が新卒からの人材、役員構成も半数近くが新卒からの人材となりました。」
この藤田氏の教訓に、会場にはうなずく人が続出。そうして採用した人材を育成する方法や組織づくりの方法として、 “ポジション・ポストを与えて人材の成長を促進する” “上司になる人を実績ではなく、人格で決める” “挑戦した敗者には、セカンドチャンスを与える” などの具体的な話が続いた。 中でも、『CA8』という2年に1度、8人の役員のうち、2人を若手と入れ変えをするという制度を作り、10年間続けたことによって、組織に与えた効果についての話に、会場では熱心にメモをとる姿も多く見られた。
「こうした話から皆さんに感じていただきたいのは、当社のように人の育成に力を入れ、内部の競争ルールを働かせるということをしていると、自分たちで新規事業をつくって伸ばそうという、買収に頼らない事業経営ができるようになるということです。そして新規事業をつくるに当たっては、当社では「明日の会議」という名前で、近場のホテルや温泉に行き、1泊2日の合宿形式の会議で、新規事業を考える仕組みをつくっています。こうした機会を社員に与えることで、会社の柱になる事業が生まれ、今年の成果では、15社の新会社が生まれるところでもあります。」 わずか30分ほどの講演ではあったが、毎年、新会社・新規事業生み出し続けている秘訣を明かしてくれた藤田氏の密度の濃い話を受け、最後に会場からは、大きな拍手が巻き起こった。

イノベーション拠点 ライトニングトーク

関西の各所で加速するイノベーションの今 10者10様のプレゼンテーション
プログラム後半のメニューであるライトニングトークでは、大阪市にある各イノベーション拠点がプレゼンテーションと報告を各自5分ずつリレー形式で実施。
  • ヤフー株式会社「交流の森」
  • 株式会社ツクリエ「オギャーズ梅田(Ogyaa’s梅田)」
  • 株式会社MJE「billage OSAKA」
  • 阪急電鉄株式会社「GVH♯5」
  • 株式会社リネパス「知識創業研究センター(12K Osaka)・L-nest Innovation HUB」
  • 成光精密株式会社「Garage Minato」
  • 株式会社木幡計器製作所「Garage Taisho」
  • シークリーホールディングス株式会社「Reqree Dojima」
  • 一般財団法人i-RooBo Network Forum「オープンテクノロジーセンター Robo & Peace」
  • ラストを飾ったのは、 大阪市「大阪イノベーションハブ(OIH)」
「イノベーションが次々に生まれる好循環を大阪・関西に!」をテーマとした起業家、投資家、大企業、大学、さまざまな支援機関をつなぐハブとしての機能を持つ人材交流拠点として、年間270回以上のイベントを開催していることを紹介。さらに今後の大きな3つのイベント紹介の後、実際にOIHユーザーであり活躍中の、muiLab株式会社の大木社長が登場し、IoTを使って身近な社会課題の解決をしたいという思いとともに、現在開発を進めている、IoT技術と木を組み合わせたインテリアプロダクト「mui」の紹介と今後の展開や思いが語られた。各拠点でさまざまなイノベーション活動が行われており、大阪・関西で今、新しい動きや変化が加速していることが実感できる内容となった。

起業家ディスカッション

ライク株式会社 代表取締役兼グループCEO 岡本 泰彦氏(左)、株式会社ロックオン 代表取締役 岩田 進氏(中央)、株式会社サンワカンパニー 代表取締役 山根 太郎氏(右)
これからの大阪・関西の未来に期待して 関西を代表する起業家3人が思いを語る
プログラムの最後を飾ったのは、関西を代表する起業家・経営者をゲストに呼んだ「起業家ディスカッション」。ライク株式会社代表取締役兼グループCEOの岡本 泰彦氏、株式会社ロックオン代表取締役の岩田 進氏、株式会社サンワカンパニー代表取締役の山根 太郎氏の3人が登場した。 起業家3人の手がける事業や、事業にかける想いについての紹介に始まり、現在チャレンジしていること、事業を拡大し、マザーズ上場を実現した起業家としての考え方や事業成長の方法論、人材育成など、多彩な内容を披露。会場を引き込む充実した内容となった。
最後の質問だった「これからスタートアップする企業、起業家に期待することは?」という問いかけに対し、 岡本氏「ここ最近、上場や金儲けばかりを意識している人が多いのは残念。社会や身近な世界にある社会課題を解決したという思いを持った人に期待します。」 岩田氏「特に大阪で1社だけで優れたIT・エンジニア集団を作っていくのは大変です。だから私たちの会社も一緒に関わってやっていきたい」 山根氏「起業家である岡本さん、岩田さんのように、圧倒的なスピード感や未来を見通す目を持って、この世の中を変えていく思いを持って頑張ってほしい」と、これから活躍する起業家への3人からのメッセージも。 公私ともに良い関係性を築いている3人の軽妙なかけあいに、会場からどっと笑い声が沸き起こる場面もあり、実に楽しいディスカッションイベントとなった。
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