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スタートアップで働く人

小林 寛之 氏

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「企業は人が作る。」スタートアップが成長する過程において起業家は多くの仲間と出会い、共に長い道のりを歩みます。スタートアップで働く人は、どのような経緯で企業にジョインしたのでしょうか。

一人一人に焦点を当てるとそこには様々なご縁で繋がった、イキイキと輝きながら働く姿がありました。

共感するビジネスアイデアの伸びしろを
最大化していく醍醐味

小林 寛之 氏 / 取締役(経営企画室長)

akippa株式会社(2009年設立)
在籍年数1年9か月
https://akippa.co.jp
未契約の月極駐車場・個人車庫・空き地・商業施設の空きスペースなどに、ネット予約して駐車する駐車場シェアリングサービス「akippa」を運営

自社を困りごと解決企業と位置づけ、三方よしのビジネスに取り組む

akippaは、契約されていない月極駐車場・個人車庫・空き地・商業施設の空きスペースなどに、ネット予約すれば駐車できる駐車場シェアリングサービス。ユーザーは気軽に駐車場が選べて、オーナーは空きスペースを有効活用し収入を得ることができるという仕組みだ。

akippaが選ばれる理由は、「駐車場数が多い」「事前予約ができる」「価格が安い」というメリットがあるから。全国各地の空きスペースが登録されているため、目的地に近い駐車場を見つけることができる。最大30日前から1日単位や15分単位で予約できるので、当日の駐車場探しに時間をとられる心配がない。また、15分30円など安くて便利な駐車場が多数なうえ事前決済なので、キャッシュレスでスムーズに入出庫できるのも人気の理由だ。

現在(2022年1月時点)、akippaの会員数は累計で250万人を突破。予約可能な駐車場は全国に常時3万件以上と、サービス開始時から右肩上がりに増え続けている。また、損害保険ジャパンの代理店網を活用して駐車場開拓と共同保険の開発に取り組むなど、さまざまな業務提携や資本提携をはかって成長を推し進めている。

さらに今後の目標として、駐車場だけでなく、人の移動をより便利で快適にするモビリティプラットフォーマーになることを掲げるakippa株式会社。ユーザーの「会いたい」「観たい」「食べたい」といった願いを叶える最適なモビリティを提供することで「人と人」「人と体験」をつなぎ、より豊かで楽しい世界の実現をめざしている。

そんな同社の存在意義ともいえるミッションは「“なくてはならぬ”をつくる」。自宅で偶然停電に直面した代表取締役社長 CEOの金谷氏が、人々の生活を支えるインフラの重要性に気づき、自分たちも電気のように人々に必要不可欠なサービスをつくりたいという想いから生まれたものだ。

「非常に大きなミッションですが、代表の実体験から生まれたものなので共感しやすく、自社を困りごと解決企業と位置づける、三方よしのビジネスアイデアが優れていると思いました」と話すのは、取締役を務める小林寛之氏。丸亀製麺をはじめとする飲食店舗の開発と運営を行うトリドールホールディングスから2020年にジョインした。

「私がトリドールでakippaの出資に関わり、金谷に出会ったのが2014年。丸亀製麺が駐車場を借りる側としてサービスを使えないかと検討したのがきっかけで、その後出資することになったんです」

空きスペースを利用したマッチングによって、多様な需要が見込まれることもakippaのサービスの特徴だ。

ロードサイド店舗の繁忙時の満車が公共の交通状況に影響をおよぼす課題も、店舗近くの駐車場を斡旋することで解決に導く。さらには、大型施設やレンタカー会社、自動車ディーラーの空きスペースをオフィシャル駐車場とすることで、テーマパークやサッカースタジアムへの入場者による交通渋滞が緩和されるといった事例も生まれ、近年は法人会員が続々と増えている。

株主企業から出資先のスタートアップへ転職することになった出会い

大学院在学中に公認会計士試験に合格した小林氏は、修士課程修了後、大手監査法人で監査業務に従事。その後、投資ファンドを経てトリドールホールディングスへ入社し、常務取締役CFO(最高財務責任者)などを歴任したという経歴をもつ。

監査法人から投資ファンドへ転職したのは「クライアントがつくる数字を検査・監督するのではなく、自ら数字を追いかける経営側にいきたかったから」という小林氏。投資ファンドでは経営不振状態などにある企業を買収し、その事業や資産を売却するバイアウト投資を行って経営改革を経験した。

経営企画室長として入社したトリドールでは、予算の策定や経営分析を行いながら、海外事業のマネジメントや国内外の飲食ブランドの買収、M&A後の経営がしっかり行われるように支援するPMIを実施。最後はCFOとして総務・人事・経理などバックオフィスの業務を一括して管理した。

「前職では希望通り、経営に関わるさまざまな仕事を経験することができましたが、目の前のことにひたすら取り組んでいたらそうなっていたというのが本当のところです。私が在席した7年間で売上げは倍になり、立ち止まって考える暇はありませんでした」

多忙を極めるなか、2014年に出会ったakippaの金谷氏に対してどんな印象をもったのだろうか。

「ちょうどakippaが、事業をシェアリングサービスに集中しようとしているときでした。金谷に対しては、ビジネスの本質を肌で感じとる力があるように見受けられました。なにより人を惹きつける魅力をもった人だと思いましたね」

その後は株主として、年に1~2回の業績報告を受ける程度の関係だったが、2019年に金谷氏の著書「高卒IT」の出版講演会を新オフィスで行うことになったことで転機が訪れる。akippaの創業時から現在に至るまでのストーリーを改めて聞き、業績報告だけでは見えてこなかった企業の成長と、金谷氏の経営者としての成長に目を見張った。

当時、前職の社内では海外展開やM&Aを実行していくなかで優秀なメンバーが育ってきており、小林氏が介入しなくても大枠動くようになってきていた。そんななかで、もう一度現場で自分の手を動かしたいという思いが膨らんでいた。

講演会後に、金谷氏と話す機会があったので自分の状況を話したところ、「一緒にやりませんか」と声をかけてもらい、「そういう選択肢もあるのか」と思ったという。

「自分の手を動かして成長をつくっていくフェーズという意味では、スタートアップはおもしろい。しかし、見知らぬスタートアップにジョインするよりは、代表のことを知り、ビジネスを理解しているところのほうが安心だと思っていたので、akippa以外の選択肢はありませんでした」

akippaのミッション・ビジョン志向な部分も背中を押した。「実際に、ミッション・ビジョンを大切にする会社で、何か議論するときは必ず立ち返って成し遂げようとするところがいいなと思います」

小林氏は半年かけて引き継ぎを行い、トリドールを円満退社した。

強みである営業とテクノロジーの両輪でさらなる成長をめざす

akippaへジョインした小林氏だが、入社のタイミングはコロナ禍であったため、イベント・旅行・観光など非日常での駐車場の需要が弱まっていた。ステップバックする必要もあったが、その一方で、ユーザーの日常利用の増加に対するより深い戦略が求められた。現在は、おもに全社の計画立案に携わり、立てた戦略と組織や人をどのように結びつけるかを考えるなど、幅広い観点から事業成長と企業価値の増大をめざしている。

改めて、東証一部上場企業の取締役CFOが、他業種のスタートアップへ転職することに不安はなかったのだろうか。

「これまで培ってきた経験を活かすことはできると思っていましたが、資金力があり、大きな失敗を許容してチャレンジできる大企業の環境に慣れていた自分が、資金も人も限られているスタートアップに対応できるのかという不安はありました」

はじめてのIT業界ではさまざまな学びを得られたが、資金力も人の数も少ない環境では、頭で考えていた以上にいろんなことを同時にできないことが身に染みてわかったという。スタートアップでは、これと決めたことに全リソースを集中させる必要があり、また短期間である程度の数字を出すことを求められるため、よりドラスティックに実行するか・実行しないかの決断が求められた。

「長期的なミッションがあるなかで、私がいま担っているのは駐車場事業をいかに成長させるかということです。売り手と買い手をマッチングするビジネスモデルで重要視されるのはGMV(マーケットにおける販売総額)なので、まずは取引量を増やすことに注力しています」

akippaは、そもそも営業やマーケティングに強い会社としてスタートしており、その力で成長してきたところがある。しかし、今後akippaのプロダクトをより進化させるためには「ちょっと面倒だなという体験を解決する」テクノロジーの強化が重要になってくると小林氏は考えている。

「みなさんの困りごとを解決するakippaが進化することでユーザーが増え、ユーザーが増えればオーナーも増えるという好循環が生まれます。これまでも成長してきたプロダクトですが、まだまだ伸びしろはあります。その可能性に手を入れることで、急成長できるんじゃないかという楽しみがありますね」と小林氏はどこまでも前向きに語る。

左から広報の石川氏、小林氏、取締役の公認会計士杉村氏と

スタートアップへのイメージ

<Before>

  • ●大企業に比べると資金力や人的資源が少ない
  • ●成長が早い人と一緒に働ける
  • ●IT業界には賢い人がたくさんいる

<After>

  • ●分母が小さいため早い成長が実現できる
  • ●チャレンジできる環境はあるが経営資源が限られるのでシビアな見極めが必要
  • ●人情味があり相手のやりたい事を汲んで行動してくれる

自社のイイトコロ

「ホスピタリティ」という言葉がよく使われるのですが、誰に対してもウェルカムでフレンドリーな人が多いですね。相手から求められることに応えようとするカルチャーがあり、年齢・性別・国籍に寛容なので多様な人を受け入れてくれます。

スタートアップで働こうと考えている人へ

私は40歳を超えてから他業種のスタートアップに転職しました。正直不安はありましたが、チャレンジしなかった自分に後悔したくはなかったのです。スタートアップは興味をもってくれる人を歓迎するので、気になったらアクションを起こすことをお勧めします。スタートアップは色んな人を求めているので、年齢・スキルを気にせず、まずは飛び込んでみてください。

スタートアップで働こうと考えてる人
スタートアップで働こうと考えてる人

2022年1月17日取材

(文:花谷知子)

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