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スタートアップで働く人

宮川 佳奈 氏

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「企業は人が作る。」スタートアップが成長する過程において起業家は多くの仲間と出会い、共に長い道のりを歩みます。スタートアップで働く人は、どのような経緯で企業にジョインしたのでしょうか。

一人一人に焦点を当てるとそこには様々なご縁で繋がった、イキイキと輝きながら働く姿がありました。

思いを共有した仲間と“新たな価値”を創出する感動

宮川 佳奈 氏 / 品質保証・企画戦略 担当

株式会社AFIテクノロジー(2013年設立)
在籍年数6年
http://afi.co.jp/
細胞、微生物等の評価・制御・製造に関わるデバイス、装置、試薬等の開発、製造および販売

革新的分離技術で世界を変える

「数多(あまた)の細胞の中から、欲しい細胞だけを無傷で取り出す」途方もない夢を実現させるために私たちは集結しました。それがAFIテクノロジーの始まりです。

はるか昔から、物質の分離抽出にはろ過(フィルタリング)技術が用いられてきました。当然、現代における最先端分野のエンジニアリング・サイエンスでも必要な基礎技術です。AFIテクノロジーの根幹技術である”AMATAR™”は、フィルタ技術の集大成と言えます。

私たち一人一人の力はか弱いですが、それぞれが持っているアイデア・知識・経験を組み合わせ、試行錯誤を繰り返すことによって、朧げな夢は”AMATAR™”という形で具現化に至りました。 再生医療、臨床検査における希少細胞の解析・分離だけでなく、食品飲料微生物に関する迅速検査など、AMATAR™の応用範囲は多岐にわたります。

―私たちが持っている革新的フィルタ技術を用いて、ライフサイエンスの発展に貢献する―これがAFIテクノロジーの掲げるミッションです。

 近年、食品衛生法が改正され、2020年6月からすべての食品等事業者に対して、国際的な衛生管理手法であるHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理の実施が制度化されることになりました。

こうした状況の中で、弊社が開発した微生物汚染リスクモニタリングシステム『ELESTA® PixeeMo®(エレスタ ピクシーモ)』が注目を集めています。

これまで代表的な微生物検査手法として「培養法」が100年間にわたって標準的な技術として採用されてきました。ただし、培養法は専門的な技術が必要であり、検査結果が分かるまでには数日かかるという課題もありました。

製造工程中の微生物による汚染リスクの確認や、製品出荷の合否判定を、その日のうちに検査できるようにするため、様々な原理の非培養迅速検査装置がすでに開発されていますが、いずれも検査サンプル由来の成分や油分がノイズとなって、十分な精度で検査することは困難でした。

ですが、『AMATAR™』の原理を活用した『ELESTA PixeeMo®』は、それらの課題を解決し、専門的な技術を必要とせず、最短5分で高精度の検査結果を出すことができるようになりました。食品製造の各工程中でリアルタイムに微生物数のモニタリングができ、 HACCPプランを検証するのに最適です。」

 製品の特長を語ってくれたのは、同社で品質保証部とELESTA事業部で企画戦略を兼任する宮川佳奈氏。

会社設立間もない頃に創業メンバーとして参加し、社長や他のメンバーと共にまさに0から製品開発や会社運営にも取り組んできた。同社の今をカタチづくるキーパーソンである。

参加当時は、会社が設立されたばかり、製品開発もこれからという時。そんな未知の世界に飛び込んだ宮川氏は、これまでどのような経験をし、その中で何を得てきたのか?スタートアップ企業で働く魅力などについても語ってもらった。

スタートアップ企業の創業メンバーとして、密度の濃い時間を過ごす

宮川氏がAFIテクノロジーと出会ったのは、大学生の時。学んでいたのは日本文学で、漠然とではあったが将来は国語の教師をめざしていた。
だが一方で「その職業を本当にやりたいの?」と問われると、憧れはあったが、それ程本気度は高くなかったという。

そんな中で知り合いから声をかけてもらい異業種交流会に参加。会場で当時起業したばかりの同社のメンバーと出会い、アルバイトをはじめることになった。

「ずっと文系でしたから理系分野のことは全く分からないし、そもそもスタートアップ企業って何?という状態でした。

でも、まだ世の中にない新しいものを創り出そうとしていることや、今まで関わったことがない未知の世界に魅力を感じて、まずはやってみようかなと思いました。最初はアルバイトだったので、あまり深く考えていませんでした(笑)」

実は、その後しばらくして宮川氏は大学を辞めるという大胆な行動に出る。

「就職活動のために大学に毎日通って学んでいることはあまり意味が無い。

社会に出て学ぶことの方が多くあり、価値がある。ならば社会に早く出た方が良いと思って。

何よりも、会社の人も雰囲気もとても良く、みんなが目標に向かって頑張っているアツイ姿が好きでした。」

そうして同社の正社員となり、本格的に仕事と向き合いはじめる。

当時の同社は、社員数が5〜7名規模で、製品開発をはじめ、事業や組織、会社の制度などすべてをこれから考え、創っていこうという状態。

社会人経験もなく、専門分野の知識もなかった宮川氏にとっては、何もかもが未知の世界だった。そんな中で最初は、白衣を着て分析や実験のサポートを行ったり、書類作成に関わったり、時には夜遅くまでがんばっているみんなのために食事をつくったりと積極的に取り組んだ。

ゼロからの“ものづくり”に立ち会い、自分自身の成長も実感

「初めは名刺の渡し方も分からない、電話の取り方すら分からない中でのスタートでしたが、社長をはじめ、先輩が自分の大切な時間を割いて丁寧に指導してくれました。

そして、社長の“社会のために!”という熱い思いにみんなが共感して集まり、0から1をつくり出す困難に熱意を持って全力で立ち向かっている様子を間近で見て、スタートアップ企業で働くおもしろさや魅力にはまって行きました。」

と宮川氏は当時を振り返る。

代表取締役社長 円城寺氏と

同社での仕事は、宮川氏がもともと持っていた「がんばっている人を応援したい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちを大きく刺激。その後の常に新しい仕事、自分がやったことのない仕事でも怯まずチャレンジする姿勢へと繋がっていった。

社員が心を一つに製品開発を行う中で、『ELESTA® PixeeMo®』の前身となる製品が完成した際には、営業としても活躍。営業手法も0から確立しながら、製品の普及に取り組んだ。

「製品の完成に至るまでには、様々な苦労をみんなと味わいました。

特に補助金申請の時は大変で、日々夜遅くまで申請書類を全員で議論しながらつくりあげたことは良い思い出です。

もし補助金が得られなかったら、開発が進まなかったわけですから、あの時は会社としての大きなターニングポイントを迎えていました。

もちろん技術の確立においては社長をはじめ、研究・開発者のみなさんの困難は私の想像以上だと思います。でも、それらすべてをみんなで乗り越えて、製品を完成させたことは今も忘れられませんし、私の心の財産です。」

製品の完成は、宮川氏にとっても大きなハードルをみんなと力を合わせて乗り超えた貴重な経験となり、また新たな課題に挑む上での自信にも繋がったに違いない。

その証として宮川氏は、この後も品質保証部の立ち上げと組織づくり、企画戦略などにも関わり、同社にとって不可欠な人材へと成長を遂げていく。

常に会社も自分自身も変化しチャレンジできる環境

AFIテクノロジー設立から7年。現在同社では『ELESTA® PixeeMo®』の普及をさらに進めると共に、ロボットを用いた全自動前処理装置の開発や、再生医療、臨床検査分野向けの新製品『ELESTA® CROSSOTER™』を開発。2021年春からの販売の為、準備を進めている。

また社内では早くから進めていた事業部化が機能し、社員それぞれが専門分野に特化して仕事に寄り組み、力を発揮できるように進化。さらに従業員数も30名規模になり、働く環境や制度も充実している。

こうした会社全体の成長と変革について、まだ20代ながら、創業メンバーとして深く関わってきた宮川氏。周囲も厚い信頼を寄せている。

「当社に入って総務業務や分析業務、資金調達関連、営業、品質保証、会社の制度づくりなど、本当に様々な経験ができました。これらはスタートアップ企業という環境、創業メンバーというポジションだから経験できたことだと思います。」

専門家に“そんなことできるはずがない”と言われた技術を実現させ、『ELESTA® PixeeMo®』は2020年1月にアメリカのAOAC-PTM の認証を取得。決して諦めず、“絶対にできる”“完成すれば世の中を変えていける”という社長の信念に全員が共感し、努力した結果だ。

「微生物の検出原理の中では、当社の技術は画期的な新しい原理です。次世代では“これが当たり前”と思ってもらえるように、もっと世の中に広めたいです」

これから宮川氏は広報として同社の企業ブランディングに力を入れ、グローバル企業として活躍するに恥じない企業イメージを創造していきたいと考えている。

その先に見据えているのは、2年後に実現するべくIPOという大きな目標だ。

もちろんこれからも新しいこと、未体験の分野に対しても宮川氏は挫けず、きっと歩んでいくことだろう。円城寺社長や仲間と共有する「信じて進む」という信念と共に・・・。

代表取締役社長の円城寺氏と大阪事業所のみなさんと

スタートアップへのイメージ

<Before>

  • ●一人ひとりが自由に好きなことをしている
  • ●特別な才能がある人じゃないと働けない
  • ●年齢に関係なく責任ある仕事を任せてもらえる

<After>

  • ●みんなが心を一つにチームとして働いている
  • ●熱意と信念があれば、誰もが活躍できる
  • ●想像以上に色々な経験や体験ができ、成長可能

自社のイイトコロ

早い段階から事業部制や組織づくりを大切にしており、社員が働きやすい環境づくりにも取り組んできました。一般的なスタートアップ企業で働くイメージとは違って、仕事と家庭、どちらも大切に働ける環境は魅力です。

スタートアップで働こうと考えている人へ

当社では社員全員が自分達の仕事に誇りを持ち、「社会を良くするために」という信念を持って働いています。そのため仕事自体を楽しみながら自分達の実現したいことに心を一つにして向かっていけるのは、良いところですね。好奇心、向上心がある人は、仲間と一緒に助け合いながら、自分達で会社も事業もつくっていけると思います。

スタートアップで働こうと考えてる人
スタートアップで働こうと考えてる人

2020年12月7日取材

(文:北川 学)

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