起業家ライブラリ

足立 安比古 氏

タッチレス決済認証プラットフォーム”で暮らしの色々をシームレス化

足立 安比古 氏

代表取締役
会社名PaylessGate株式会社
ウェブサイトhttps://corp.paylessgate.com
事業内容本人認証技術と高速高精度な位置測定技術によるシームレスな認証・決済システムを駆使したプラットフォーム構築・サービス提供

2つの世界初技術を搭載し、改札や会場へのウォークスルー認証と決裁を実現

これほどITやICTが進化しているのに、未だになぜ電車の改札を通る際にICカードやスマホを取り出し、読み取り機にタッチするという労力が必要なのか?

あるいは予約したイベント会場や美術館などの施設に入場する際、なぜ改めて入口で並び、スマホアプリを立ち上げてチケットや二次元コードを提示しなければならないのか?

先進技術をもっと活用すれば、電車の乗り降りや買い物も、会場・施設の入場の際も、スマホをかざす必要はなく、ノンストレス・ノーアクションでそのまま通過できるようになっていてもおかしくないのでは?そんな疑問を持ったことはないだろうか。

こうした部分に着目し新たな入退場に関わるプラットフォームを提供しようとしているのが、足立安比古氏が代表を務めるPaylessGate株式会社だ。

同社のタッチレス決済認証技術は、改札通過や会場入場などの際、スマホを取り出して提示する必要はなく、本人確認のために立ち止まる必要もない。そのままダイレクトに通過するだけで本人確認やチケット・切符の確認が完了するというもの。

現在はこの技術を提供し、プラットフォーム化する事業と、より簡易なアプリ「瞬間楽入」を使った事業を提供し、今現在よりもさらに進化したタッチレス、ペイレスな社会の実現をめざしている。

paylessgate paylessgate

「私が開発したタッチレス決済認証技術には、世界中で約60億台とも言われるスマ−トフォンのほとんどに搭載されているBluetoothを用いた本人認証技術と高速かつ高精度な位置測定技術を搭載しています。

従来のICカードや二次元コード技術を活用した方法とは違い、読み取り機に近づける必要もなく、スマホがスリープ状態でも可能です。つまりカバンやポケットから取り出すことなく、ウォークスルー・ハンズフリーで認証・決済ができるということ。

現在、イベント関連のさまざまな企業で実証実験や導入が進んでいます。この技術が多分野に普及すれば、自動販売機やコンビニ、スーパーなどでもレジを通さず、電子タグ付きの商品をピックアップし、そのまま店を出た時点で決済が終わるということも実現できます。まさしくシームレスな社会が実現するでしょう。」

タッチレス決済認証技術には、足立氏が独自に開発した2つの世界初の技術が使われていることが、最大の特色。中でも、従来の数十倍の精度で位置測定ができる技術は、数あるテック系企業も実現できていないものだ。

また技術導入についても、多くのレジやパソコン、タブレットに入っているBluetoothを使える、もしくは汎用的なBluetoothを使用することで安価にできるため、高価な専用読み取り機の設置が不要でコストも低く済む。

当然入場スピードや手間が大幅に軽減され、省人化も実現できるというメリットにも業界内外から注目が集まっている。

現在のビジネス創造につながる、子ども時代に身につけた“常に考え続ける姿勢”

2018年の起業前は、業界最大手クラスの電機メーカーで研究開発に従事していたという足立氏。その「常に何かを思考し続ける」というスタイルは、小学生の頃から既に身につけていたという。

大きなきっかけは、少年時代に持ったひとつの疑問「なぜ人は生きるのか?」
人としては永遠の課題とも言える問いに対し、足立氏が確立したのは「後悔しない生き方をする」という自身の揺るぎないポリシーだった。

以来、後悔しないために、何をする時にも先を見据えて考え抜くという姿勢にこだわるようになった。

中学生の時には、先生の教え方がつまらないことに疑問を持ち「もっと授業を楽しくする⇒そのためには教育環境を変えていく必要がある⇒そこにはお金が必要⇒ではお金を生み出すための事業を考える」・・・というように次々と連想するようになった。

高校の時には、保険を比較するサービスがあれば流行るのではないかと思い、ビジネスモデルを考案。その後、しばらくして世の中に保険比較サービス事業者が登場し「自分の考える事業はけっこう的を射ている」との実感を得た。以来、身近な課題からビジネスを考える習慣が身についたという。

「みなさんは将来60歳、70歳になって仕事を引退し、80歳の時にはどんな人生が待っていると思いますか? 過去についてどんなことを振り返ると思いますか?

私は小学生の時にそんなことを延々と考えていたんです(笑)。そうして老後に、あの時もっと○○をやっておけばよかった…と後悔しないために、今からできることをする、早くからやっておいた方が良いことをやる。そういう考え続ける意識を常に持つことが大事だと気づいたのです。

それからは、何でも日常で見たり聞いたりしたものから、不思議に思ったり、疑問を持ったことを考え続けるということを継続してきました。その姿勢は今のビジネスにも生きていると思いますね。」

paylessgate

そんな探求心旺盛な足立氏は、京都大学に入学。物理学・宇宙物理学を専攻し、物体や宇宙の真理を解明する道に進む。

一方、学業の傍ら、親戚がやっていた医療系出版事業を引き継ぐ形で大学発のベンチャーを起業。さらにもう1社、WEBサイト構築やインフラ構築関連のITベンチャーも起業し、早くから経営視点も養ったという。

事業は順調に推移し、他社とのアライアンスも構築するなど、着々と成果を出せていたものの、大学3年の時にペンシルバニア州立大学の客員研究員として関わった超音波研究に専念するため、大学院進学をめざすため、2つの会社を事業譲渡したのだった。

世界&業界初の新技術を生み出すポジションを捨て、起業家への一歩を踏み出す

大学では素粒子理論や宇宙線の研究を、大学院ではレーザー(光)の研究に取り組み、電気ではなく光を使った通常の数百倍、数千倍早い計算能力を持つ光コンピュータの研究にも取り組んだ足立氏。

大学院修了後は、研究していた光コンピュータを実用化したいと考え、大手電機メーカーに就職し、本社直属の研究開発職のポジションを得た。

職場に配属されてわずか1週間で提案した案が採用されて、1つ目の特許技術を生み出し、3ヶ月で2つ目、その後もハイペースであふれるアイデアを研究開発し特許取得に貢献。その中には、事業化には至っていないもののレンズレス顕微鏡など、世界初の新技術も数多くあったという。

「そんなに多くのアイデアがどこから生まれるの?とよく質問されるのですが、小学生の頃からずっと考えることをしていたので、常にいくつもアイデアは持っていました。あとは実現の場と環境があったからすぐにカタチにできたということですね。」

paylessgate

結局、足立氏は在籍していた5年間で約50もの特許技術を開発するという偉業を成し遂げ、会社から大きな期待を寄せられる存在になったが、家庭の事情から退職した。

そんな中、再就職ではなく、起業への思いを奮い立たせたのが、タッチレス決済認証技術を活用したアイデアだった。

ビジネスアイデア誕生のきっかけは、研究開発者時代に複数社の電鉄会社に乗り換える際、何度もICカードを出し入れし、時にはどこにしまいこんだか探すという手間に、ストレスを感じたことから。

その時の「なぜ?こんなに不便なのに改札機は改善されないのだろう?なぜ世の中にこのストレスを解消する技術がないのだろう?」という疑問に答えを出すため、足立氏は独自に技術研究を進め、Bluetoothを使った認証技術を自ら開発。同時にビジネスモデルの構築にも取り組んだ。

そうして2018年6月にPaylessGate株式会社を創業、研究開発者から起業家への一歩を踏み出したのだった。

革新的技術でポストコロナの世界、スマートシティ化等、多分野での貢献をめざす

事業スタート後は、電鉄会社やイベント会社へタッチレス決済認証技術の提案、業務提携を得る活動に注力。イベントなどでの高率的な受付を実現するアプリ「瞬間楽入」の開発を開始し、ベンチャーキャピタルや大企業からの資金調達活動のための関連イベントにも積極的に参加している。

2019年には、セミナーでの実証実験を行い、その成果から顧客や投資家からの資金調達に成功。アプリの完成にこぎ着けた。

しかし2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、技術導入対象となるイベントなどが激減。さらに認知度を高めるための実証実験ができない等、苦しい時期が続いたが、そんな中でも足立氏は諦めず地道に活動を続け、ビジネスプランコンテスト「ドリームDASH!」で特別賞を、「ミライノピッチ2020」では、一般部門でOIH賞を受賞する等、数々の成果を得ていった。

事業を加速させようとした時期にコロナ渦の事業停滞という厳しい洗礼を受けたが、2021年、年明けには内閣府・経済産業省・JETROによるスタートアップ・エコシステム拠点の「グローバル拠点都市」4カ所50社を対象とした「アクセラレーションプログラム」の参加企業に選定され、今後の活動に明るい光が差し始めている。

「収益化という点では、まだまだ多くの課題があるのが現状です。2020年は、自社技術のアピールや提案するチャンスも少ないということもありましたが、対応策や改善策を考える機会に恵まれました。

当社のタッチレス決済認証技術は、2025年の大阪万博への導入向けた提案や国や自治体が構想するスマートシティの構築、そして直近のポストコロナ下のソーシャルディスタンスが求められる社会生活において、非常に有用なものです。

もっと実績を増やし、認知度や信頼度を高める。そして普及につなげていきたいと思います」
最終的に足立氏がめざすのは、 “タッチレス決済認証のプラットフォーム化”である。スマホ一つあればタッチレス、ストレスフリーで本人認証され、決済も完了する。

そんなシームレスな世界が実現しても、足立氏は考え続けることを止めず、日々沸き起こる疑問と真摯に向き合っていくのだろう。

paylessgate

(取材・文 北川 学)

一覧ページへ戻る