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不動産のユーザーバンク 三方良しのマッチング/個人情報非公開で問い合せ

毎月第2、4金曜日の朝7時から、ベンチャー企業と大企業の事業提携や資金調達を目的とした早朝のプレゼンテーションイベント「Morning Meet Up(モーニングミートアップ)」がOIHで開催されている。 毎回テーマを設けて業界外観の説明とベンチャー企業によるプレゼンが行われており、2013年の開始から延べ300社を超える企業が登壇し、大きなニュースや事業につながる可能性を秘めたさまざまな提携事例も生まれている。今回は2018年3月23日(金)に実施した「建築不動産」で登壇した注目ベンチャーを紹介する。

国内外に成長要素

 建設、不動産分野は、ベンチャー界隈では地味な位置づけでスタートアップが少ない業界だが、スマートフォンやタブレット端末などデバイスの進化をベースに、AIやIoTツール、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などの技術開発が進み、さまざまな商品やサービスの提供が始まっている。  国内の建設業界では人材不足や技能労働者の高齢化、過酷な労働環境など課題が山積しており、新たな技術やサービスの導入が余儀なくされている。また、不動産分野では、既存住宅の流通規模を10年の4兆円から25年には8兆円、リフォーム市場を10年の6兆円から25年には12兆円にそれぞれ倍増させるというKPIが設けられており(「未来投資戦略2017」から)、スタートアップをはじめとした企業への期待が高まっている。  さらにグローバル市場では、建設関連のコンストラクションテック(Con-Tech)ベンチャーへの投資額は13年から16年で約5倍、不動産関連のProp-techベンチャーへの投資額は13年から16年で約6倍と年々増加しており、世界規模で盛り上がりを見せている。

自動で作業指示書

 不動産スタートアップのユーザーバンク(大阪市北区)の佐海代表は、不動産仲介業で35年にわたり営業と経営を経験し、自身が抱いた業界の課題解決を目指し15年に起業した。  不動産仲介会社は手数料収入で成り立っており、一度の取引で物件の買主と売主両者からの手数料を受けると収入が最大化する。そのため、優良な物件は公開することなく水面下で買い手を探す傾向にある。一定の期間が過ぎても買い手が見つからない物件から一般公開していくが、一般消費者が目にする情報は全体の3割程度と言われる。    中小の不動産会社は顧客獲得に苦労しており、不動産情報サイトや新聞折り込みチラシなどで一人の見込み客を見つけるために労力とコストをかけている。一方、物件購入希望者は公開されてない7割の情報にアクセスすることが難しく、本当に希望に合う物件を探そうとすると非常に手間暇がかかる。  そういった両者の不便を解消するため、同社は、中古マンション、戸建て住宅、土地を取り扱う不動産会社と物件の購入希望者、売主をつなぐ業界初のウェブマッチングプラットフォーム「ライフグラム」を開発した。  このプラットフォームは、物件探しをしている人が希望の地域や間取り、予算など15項目を入力すれば、マッチング率80%以上の物件情報が届く。興味のある物件があれば、個人情報を公開することなく、チャット形式で不動産会社に問合せができる仕組みだ。  不動産会社が提供する物件の情報は、一般公開されないため同業者に見られることはない。また一般的な不動産情報サイトとは違い、物件登録は無料で、問い合せのチャットに返信すると5000円が課金される。今年夏には、物件を売りたい人を対象にした査定サービスも付加する予定だ。費用はすべて不動産会社が負担し、利用者は無料。現在は大阪市内を中心に京阪神地区で展開しており、今後は全国へと範囲を広げていく。


 建設・不動産分野のプレゼンではほかに、どこに、どんな建物ができるかという建築工事情報を地図上で確認できるプロフェッショナル向け有料サービスを提供する建設ニュース(大阪市北区、朝野悟司代表)、工事現場の写真整理と保存を自動化するBooth(兵庫県川西市、金澤成剛代表)、建築業界に特化した地域密着型情報流通サービスを提供する職人さんドットコム(神戸市東灘区、猪澤幸男代表)の3社が登壇した。。

文:デロイトトーマツベンチャーサポート 井村仁香
※本文は2018年5月14日付け フジサンケイビジネスアイ「ニュースの卵」に掲載された内容です。記事の無断使用・転載を禁止します。

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