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AIベンチャーのキャピー

利用者に優しいセキュリティー

早朝のプレゼンテーションイベント「Morning Meet Up(モーニングミートアップ)」。ベンチャー企業と大企業の事業提携や資金調達を目的に、毎月第2、4金曜日の朝7時から大阪市北区の大阪イノベーションハブで開かれている。
毎回テーマを設けて業界概観説明とベンチャー企業によるプレゼンが行われており、2013年の開始から延べ300社を超える企業が登壇。大きなニュースや事業につながる可能性を秘めたさまざまな提携事例も生まれている。今回は、AI(人工知能)・ビックデータ分野の注目ベンチャーを紹介する。

大型上場と人材不足

昨年9月に市場を沸かせた時価総額1000億円を超えるAIベンチャーが上場すると、今年4、5月にもAIベンチャー2社が上場し、いずれも時価総額600億円を超えた。さらに、17年度の日本企業から国内外のAIベンチャーへの投資額は500億円を超え、前年比の約2倍となった。また、大手企業とAIベンチャーの協業は発表されているだけで100件を超えるなど、市場の活況はしばらく続きそうだ。
一方で、AIエンジニアは慢性的に不足し、大手を中心に業界では人材争奪戦が過熱している。しかし、AIベンチャーに勤める若手のエンジニアからは、大企業に勤めるよりも自由に仕事ができる、ストックオプションなどを考えると、待遇面でベンチャーの方が魅力的などというベンチャー志向の声が上がっており、人材確保に苦労する大手企業とAIベンチャーにとっては「協業」が今のところ最適な関係といえるのかもしれない。

100超のサイトで採用

AIベンチャーのCapy(https://www.capy.me/jp)(キャピー、東京都中央区、岡田満雄代表)も多くの大手企業と協業している。同社が開発した不正ログイン対策サービスは、大手をはじめとした100を超えるWEBサイトで採用されている。
警察庁の発表によると17年のサイバー犯罪は過去最高の9014件でこのうち不正アクセス禁止法違反での検挙件数は648件、インターネットバンキングでの不正送金等の被害額は年間10億円にも上る。覚えやすい2、3種類のIDとパスワードの使いまわしや管理の甘さが不正利用される一因といわれるが、利用者からすれば複数のIDとパスワードを管理するだけでもひと苦労だ。
Capyが提供するセキュリティサービスは、利用者の端末の種類や頻繁に利用する時間、おおよその地域などの行動履歴数十項目をAIが学習し、ログイン時に本人らいしいかどうかを照合することで不正ログイン防止を図っている。さらに機械には難しく、人にはわかりやすいパズルのピースや意味のある絵柄やパーツを合わせるビジュアルで「人」だと認識させる仕組みで二重の対策を講じている。
企業にとっては、セキュリティー対策も重要だが、煩わしいログイン作業で利用者が離脱することにより機会を損失しては本末転倒だ。しかし、同社のセキュリティツールを導入することで利便性が向上し、サイトの離脱率は13%から2%まで下がり、さらにビジュアルにPR要素を加えることでマーケティングの機会としても活用することができる。導入は、ソースコード1行をサイトに加えるだけで、最短30分で実装ができるうえ、費用も通常数億円から数千万円といわれるセキュリティサービスよりも低価格で提供している。また、クラウド経由でサービス提供しているため、導入企業側でメンテナンスをしなくても、常に最新のセキュリティー対策を講じることができるのも魅力だ。言語に依存しない本サービスはコンセプト段階から世界展開に向けデザインされている。

AI・ビックデータ分野のベンチャーのプレゼンでは、そのほかにも、ディープラーニングを用いた画像解析システムを開発しているRist(リスト、東京都目黒区、遠野宏季代表)、IoT(モノのインターネット)とAIの活用で製造現場のスマート化をサポートするスカイディスク(福岡市中央区、橋本司代表)、その人ならではの感性を学習するパーソナル人工知能を活用したサービス開発を行うSENSY(センシー、東京都渋谷区、渡辺祐樹代表)、高度なスキルや経験がなくてもビックデータを活用し役立つ分析結果を簡単に導き出せるデータ解析ツールを開発するデータビークル(東京都港区、油野達也代表)の4社が登壇した。
(デロイトトーマツベンチャーサポート 井村仁香)

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