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ノースヒルズ溶接工業 量産化の壁打破へ 溶接ロボの共同開発呼びかけ

毎月第2、4金曜日の朝7時から、ベンチャー企業と大企業の事業提携や資金調達を目的とした早朝のプレゼンテーションイベント「Morning Meet Up(モーニングミートアップ)」がOIHで開催されている。
毎回テーマを設けて業界外観の説明とベンチャー企業によるプレゼンが行われており、2013年の開始から延べ300社を超える企業が登壇し、大きなニュースや事業につながる可能性を秘めたさまざまな提携事例も生まれている。 今回は2017年9月8日に開催したものづくり特集から注目ベンチャーを紹介する。

サイトで情報発信

 高度成長期の日本では、「三種の神器」に代表される家電や自動車を所有することがひとつのステータスであったが、近年は生活者の価値観やライフスタイルの多様化とともに、ニーズが所有から体験へ移行し、商品を使っていかに生活が便利になるのか、どのように楽しく過ごすかということに重きが置かれるようになってきた。
 さらに、グローバル化の波や情報インフラの発達、会員制交流サイト(SNS)の普及、クラウドファンディングの登場などにより、大企業とベンチャーが協業したり、小さなメーカーでも自社商品を作って売ることのハードルが低くなったりしていることで、業界の地図は大きく変化している。
 東大阪に本社を構えるノースヒルズ溶接工業(代表・北坂規朗氏)は、TIG溶接をはじめロウ付け溶接、異種材溶接など、溶接の中でも特殊分野に特化した溶接ベンチャーだ。前職の装置メーカーで知り合った溶接職人の上司とともに、北坂氏が11年、27歳のときに創業した。顧客には、航空宇宙、自動車、医療、半導体の国内大手や国立大学が名を連ねており、「特殊溶接ができる企業をなかなか見つけることができず、いろいろ手を尽くしてやっと探し当てた」と同社に問い合わせをしてきた会社がほとんどだという。「経営資源が限られたベンチャー企業が成長するには、自社からの発信が不可欠」と語る北坂氏は、Webサイトでの情報発信に力を入れており、前述の顧客の90%がWebサイト経由という驚異の集客力を誇る。

職人の技術を再現

 そんな北坂氏の悩みは量産化の壁。自社サイトに「試作・研究開発品を主体とした溶接屋」と記載していることから、同社に寄せられる相談のほとんどが試作や研究開発。もちろん、その後の商品化や技術の実用化を目的にしているが、職人がひとつひとつ丁寧に接合して試作品が完成しても、量産化できなければ意味がない。そこで北坂氏は職人の技術を再現できる溶接ロボットの開発を思いついた。
 今回のプレゼンテーションイベントでは、大企業や金融機関からのオーディエンス(参加者)に対して、ロボットの共同開発と資金供与を呼び掛けた。オーディエンスからは、同社の競合優位性やロボット化に対する課題についての質問が寄せられたほか、溶接ロボットのシェア世界トップ企業の担当者も参加しており、熱い議論が交わされた。


この日はその他にも、製造業の機械や資材・原材料等の調達先を欧州、北南米、アジア圏約50カ国から選定し、最適なパートナー探しをサポートしているワールドインキュベーター(大阪市中央区、代表・野原智央氏)や、何もない空中に映像が浮かび上がる次世代映像技術の研究開発をしているパリティ・イノベーションズ(京都府相良郡、代表・前川聡氏)、96.7%という高精度で手の形を認識し、ロボット等の機器を操作することができるシステムを開発した知能技術(大阪市北区、代表・大津良司氏)の3社が登壇した。

文:デロイトトーマツベンチャーサポート 井村仁香
※本文は2017年10月9日付け フジサンケイビジネスアイ「ニュースの卵」に掲載された内容です。記事の無断使用・転載を禁止します。

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