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遠隔診療サービスで「医療」をもっと身近なものに。人々と医療の間にICTのチカラで橋をかける

石井 健一 氏/Kenichi Ishii

代表取締役社長
会社名ネクストイノベーション株式会社
ウェブサイトhttps://nextinnovation-inc.co.jp/
事業内容インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画・運営など

社会ニーズを的確に捉え、新しい発想で遠隔医療のカタチを革新した『スマ診』

生活習慣病を抱える患者の実に60%が、2年後には、日々の忙しさや治療費の問題などから、受診を中断しているという哀しい現実。
受診を中断することで、その後の病状悪化を招き、患者自身や家族はもちろん、職場や企業などにも大きく影響してしまう・・・。そんな日常の中にある、受診中断という現実を社会の損失と捉え、医療サービスとICTを融合したビジネスを展開しているのが、ネクストイノベーション株式会社だ。

スマートフォンで “いつでも・どこでも” 医師による診察を受けることができる、遠隔診療サービス『スマ診』は、遠隔診療だけでなく、最短で翌日には受診者の手元に薬を届けるところまでサービスとしてカバーしているものもあるという。これにより、患者にとって無理なく継続できる治療環境を作り出した。

2019年1月時点では、AGA、ED、花粉症、ねこアレルギーなど、複数の専門に特化した『スマ診』としてサービスを拡充している。中でも、月経困難症など、女性特有のなかなか相談しにくい悩みを解決する“ピル外来ネット『スマルナ』”が多くの女性の支持を獲得しており、メデイアにも多く取り上げられた。

「私たちが展開するサービスは、従来の医療・ヘルスケア分野サービスの主要ターゲットである高齢者ではなく、現役層・若者世代にフォーカスしています。病気においても、風邪などの急性期に関わるものではなく、男性で言えば薄毛やED、女性で言えば月経の悩みなど、コンプレックスや悩みにフォーカスしているところが大きな特徴です」と代表取締役社長の石井健一氏は話す。

日本の病院受診スタイルをも変えていく可能性を秘めた同社サービス・ビジネスモデルは、いかにして生まれたのか? 石井氏の経歴とサービススタートまでの経緯からひもといてみたい。

 

医療・薬業の現場での体験から、隠れた社会ニーズに気づき、ビジネスに!

石井氏がこのビジネスに関わるようになったのは、大学卒業後に就職した製薬会社でMRとして働いた時の2つの原体験によるところが大きい。

「製薬会社で臓器移植プロジェクトに関わったんですが、移植に成功した患者さんは退院後、たとえ健康状態が良好であっても遠方からわざわざ来院して診察を受けないと薬をもらえないという状況を知りました。もうひとつは、とあるプロジェクトで働いていた薬局で、患者さんと接しているうちに『病院で診察を受けたいんではなく、薬が欲しいから診察を受けにきている人が多い』ということに気づいて。分野によっては、ICTを活用することでもっとスマートにできるんじゃないかと思ったんです。」と石井氏。

さらに大学院生時代、「医師はなぜ忙しいのか?」というテーマで研究に取り組み、医師の行動分析の結果から、このビジネスの成功に確信を持つことができたと話は続く。

「実際に、医師の日々の動きを追っていくと、彼らが自分の専門性を発揮できている仕事は全体の10%しかなかったんです。それ以外は、専門外の医師でもできる仕事だったり、医師じゃなくてもできる仕事でした」

医療・薬業分野での経験を積んだ石井氏は、2013年に起業をする。その間もスマ診の原型となるビジネスモデルを温め続け時を待ったそうだ。そうして2年後、業界の転換点とも言える出来事が起きる。それは2015年の8月10日に厚生労働省から発表され、「遠隔診療に対する新しい解釈」だ。遠隔診療で診療を受けられる範囲・病気の種類などが、それまでよりも大きく広がり、遠隔診療の実質全面解禁といっても良い内容に、自分の考えるビジネスに可能性が見えた瞬間だったという。
この時を絶対的ビジネスチャンスと捉え、石井氏は事業化を決意。その際、システムを設計し、オンラインでの体験をデザインできる人材、薬剤卸・流通に強い人材と共に、新たなチーム編成で、新しい会社・ネクストイノベーション株式会社を立ち上げ、事業構築への動きを加速させていったのである。

 

通常の受診に関わる3つの壁を乗り越えるソリューションを盛り込み、成功

当時、オンライン診察市場は、2020年には200億円まで拡大すると想定された情報もあったことから、参入業者も数多くあったそうだ。その中で石井氏達は、独自のターゲット設定や診察分野を設定し、さらにサービスで解決すべき課題として、患者が受診に至るまでに立ちはだかる3つの壁を仮定した。
まず、病院が遠い、近くに専門外来がないなどの「距離の壁」。次に、ネット社会で情報が手軽に入ることにより、勝手に自分の病気を判断してしまう「知識の壁」。最後に、医師人口の不足からくる病院の混雑や長い待ち時間などの「時間の壁」だ。この3つを解決すべく、それらに対するソリューションをビジネスモデルに練り込んで『スマ診』の開発を進めた。
その結果、2017年1月にオール大阪起業家支援プロジェクト「Start UP!」の第7回ビジネスプランコンテストで表彰を受け、資金調達フェーズへと歩を進める。

2017年4月には、日本初の需要喚起型遠隔医療サービスとして、『オトコノスマ診』がスタート。以降も世の中のニーズを取り入れながら、各種専門分野ごとの『スマ診』の横展開を進めている最中だ。
スタートから1年半が過ぎ、その実感は?との質問に、「私たちは、今も新たなサービスの構築や現サービスの改良を続けています。ですので、まだまだ私たちの『スマ診』は進化し、新たなものを継続して生み出していく必要性を感じています」と石井氏は、思いを語ってくれた。

 

イノベーションアイデアが次々と生まれる社内環境から、また新たなイノベーションを!

石井氏が企業経営で大事にしているのは、「他の人や企業が行かないところをあえて行く、逆張りの経営を意識している」ということ。多くの人は、安全でリスクのない方へと向かいがちだが、石井氏はまさに逆方向に舵を切ることが多いそうだ。困難な中でこそ、乗り越えるためのイノベーティブなアイデアが生まれるというのだ。

「当社では、社員に対しても、『リスクを取ったやつが一番偉い』と話しています。そのせいか、創業時からのメンバーはもちろん、最近インターンで入った若手も、リスクがありながらも魅力的でおもしろい提案をしてくれます。もちろん社員が提案したものはリスクがあることも理解した上で、提案者に任せることもしています」と石井氏の言葉の通り、同社では、イノベーティブなアイデアが次々とメンバーから提案される環境ができあがっているようだ。
「関西のスタートアップ企業が、ネクストイノベーションを見に行ってみよう、何か学んでみようという企業になりたい。それくらい、仲間と常に新しいこと、イノベーティブな事業を継続してつくり、社会に貢献していきたいですね。」そう話す石井氏が見つめているのは今ではなく、もっと先の次の世界を見据えているようだ。

 

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