ホーム起業家ライブラリ与島 大樹 氏/Taiki Yojima

インターネットで時間と空間を超え、これまでの常識を打ち壊し スポーツレッスンの新しい歴史へ!

与島 大樹 氏/Taiki Yojima

代表取締役 CEO
会社名株式会社だんきち
ウェブサイトhttp://dank-1.com/
事業内容オンラインレッスンアプリ「スポとも」「スポともGC」の開発、自社メディア「スポともGC通信」の運営、webサイトの制作

学びたい人と指導する人、両者をオンラインで結びつける画期的なアプリ

ライフスタイルの変化や健康志向、国際舞台における日本人選手の躍進などを受け、今、スポーツに対する人々の関心が高まっている。その機運に乗り、多方面から注目を集めている新サービスがある。それが、株式会社だんきちが開発したスマートフォンやタブレットを活用してオンラインレッスンを受けられるアプリケーションだ。

「野球にしろゴルフやテニスにしろ、上達するためにはチームやスクールに入りコーチから対面で指導を受けるのが一般的でした。しかし、地域格差や経済格差によって、誰もが十分な指導を受けることが出来ているとは言い難いのが現状。一方で、アスリートとして経験を積みスポーツ界に貢献したいと考えていながらも、その方法を見つけられないでいる元選手や元プロも少なくありません」と話すのは、代表取締役CEOの与島大樹氏。

スポーツの発展にとって最も重要な人材育成。ところが、これまでの指導環境では、学ぶ側にとっても、教える側にとっても、大きな機会損失が生じていると指摘する。
場所や時間に縛られることなく学びたい人と指導する人を結びつけるアプリは、撮影した動画を共有することで正しいフォームや知識を獲得できるだけでなく、アスリートの活躍の場を広げセカンドキャリアの可能性にもつながっていく。「スポーツレッスンの新しい歴史を創る」という信念から生まれた、まったく新しいビジネスだ。

野球に打ち込んだ学生時代。そこにビジネスのヒントがあった

父親の影響で、幼い頃から野球少年だった与島氏。幼なじみであり「だんきち」の創業メンバーである古田氏と共に地元・大阪府摂津市の少年野球チームに入り、高校では上原浩治選手など多くのプロ選手を輩出している東海大仰星に入学。まさに野球一色の青春時代だったという。そして、野球に関わってきた人生の中にこそ、起業のヒントがあったと当時を振り返る。

「実は、古田とふたりでいずれは起業したいと考えていて、高校卒業後はそれぞれそのための準備をしていました。私はマネジメントやキャッシュフローを学ぶために経済大学に進学し、その後財務系コンサルタント会社に入社。古田には絶対に必要になるであろうITスキルの習得を任せました」。

そして2011年、経営を学ぶ実践の場として立ち上げた飲食店で、プロ選手となった後輩と出会う。

「華々しく活躍していた彼が、引退後に仕事がないという悩みを話してくれました。その時ふと頭をよぎったのが、奄美大島にいる従兄弟のこと。十分な環境や指導者がいないことで好きなスポーツを続けられなかったことを思いだし、ふたつの話がつながり一つのビジネスのイメージが漠然と見えてきた瞬間でした」。

さらに、そんな与島氏に確信を与えたのが、高校野球部のある後輩の死。通夜の後に後輩を偲んで仲間と一緒に観たDVDが、画像が持つ強さと可能性を教えてくれたという。

「動画はどんなモノや情報よりも、鮮明に心に残る。スポーツの場で共有することで、仲間と楽しんだりレッスンに役立てることができないだろうか・・・それが、ビジネス確立への最初の一歩だったように思います」。

時代の先を突き進む自分たちを、支えてくれたさまざまな出会い

しかし、時代はようやくスマートフォンやSNSが普及し始めた頃で、「動画を共有するという文化は、まだまだ世の中に浸透していなかった」と与島氏。まずはスポーツで友達とつながるWEBサービス『スポとも』を開発し、ゼロの段階から文化づくりの道を模索したという。

その後、2013年に株式会社だんきちを立ち上げ、本格的にアプリを開発するも、まったく反響を得られなかった。

「最初の1年間は地獄のようでした。大阪にいても情報が集まらないと、なけなしのお金で東京に出向いて必死で情報収集を行いましたね」。

そんな苦しい状況から脱する大きな転機となったのが、ドコモ・イノベーションの「Villageシード・アクセラレーション」への参加だった。200社中6社に選ばれたことを機に、資金調達をはじめプロのアスリートたちとのネットワークを構築。現在にいたるビジネスの土台を固めるきかっけとなった。

さらに、通信環境の進化とSNSの発展により、動画共有の文化が花開いていく。与島氏たちの動きに、時代が追いついてきたのだ。

「OIHとの出会いも大きな契機になりましたね。わざわざ東京に出向かなくてもグランフロントに行けば人との交流や情報収集ができる。時代に先行して突き進んで何も分からなかった自分たちにとって、とても心強い存在です」。

現在、「だんきち」の事業は、個人を対象にしたCtoCビジネス『スポとも』と、スクールを対象にしたBtoBtoCビジネス『Lesson NOTE』の大きく二方向で展開。設立当初、反響がほとんどなかったというアプリは改良を重ね、現在は約3,000人のユーザーが活用している。

そのほか、東京ドームとエイベックスを出資者とし野球、ゴルフ、ダンスに特化したレッスンアプリの開発に着手するなど、事業はさらなる拡大を見せている。

“腹を切る覚悟”ではなく、“やりぬく覚悟”を持て

起業から5年。「スポーツレッスンの新しい歴史を創る」という信念から始まった挑戦は、決して楽な道のりではなかったと与島氏は言う。

「すでに顕在化されているマーケットであれば予測も立てられますが、何もないところにまったく新しい仕組みをつくるのは容易ではありません。自分たちのやろうとしていることは本当に世の中から必要とされるのか?と信念がゆらぐこともありました。そうした過程を経て思うのは、起業で最も大切なのは“腹を切る覚悟”ではなく“やりぬく覚悟”。それが、支えてくれるさまざまな人たち、そして共に頑張ってくれるメンバーへの責任だと痛感しています」と、決意を新たにする。

「今、一番創りたいのは、指導者のスキルの可視化。現役時代の実績だけが指導力の判断材料ではないはず。アスリートとして大きな実績はなくても、しっかりと勉強し指導力を身に付けている方はたくさんいます。可視化し共有することでアスリートのセカンドキャリアを大きく広げることができるし、学ぶ側が良い指導者と出会える仕組みになる。これまでの常識にとらわれない新しいカタチを追求し、学ぶ側も教える側も、豊かに人生を送れる世の中に。それが、今描いている未来です」。

そして、いずれは日本に居ながら、世界中のプロやアスリートからレッスンを受けられる夢のような環境づくりへ――
与島氏の想いもまた、さらに大きく広がっているようだ。

(取材・文:山下満子)

一覧ページへ戻る